2018/03/13 18:00更新
「女性が働きやすいオフィスのあり方」検討

 国土交通省は13日、「働き方改革を支える今後の不動産のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学教授)の3回目となる会合を開いた。


 今回は、女性をはじめとする誰もが働きやすいオフィス環境のあり方をテーマに、委員からの発表と民間企業からのヒアリングを行なった。


 首藤若菜委員(立教大学経済学部准教授)は、ICTが女性労働者に与える影響をテーマに発表。ICTを活用した在宅勤務やリモートオフィスによる通勤時間短縮や労働時間削減は、雇用型から自営型への働き方の転換で一部の女性労働者には貢献するものの、介護や出産、育児を優先しながら働く女性の労働のあり方を大きく変えるには、男性の労働時間を短縮し、女性の役割をサポートしなければ難しいとした。また、家から離れにくい女性の労働時間改善のため、職住近接やオフィスの分散などに不動産業がどう貢献できるかが重要とした。


 楽天(株)常務執行役員の杉原章郎氏は、2015年23区郊外の二子玉川に設けた新社屋「楽天クリムゾンハウス」について解説。現在、約5,000人が働いており、その約4割が女性。管理職に占める女性比率は22%、産休育休中の社員は205名。郊外への移転により、ラッシュ混雑の軽減、自転車通勤、豊かな自然に囲まれた環境で仕事とプライベートのバランスを目指したとし、「新社屋移転後、1,000世帯が会社近くに移住した」と話した。また、社員のためヘアサロンやネイルサロン、マッサージ、フィットネス、授乳室などを社内に設置。グループ社員の子供を対象にした保育園を社内に設置・運営し、定員をはるかに上回る130人が利用を希望したという。一部の社員からは「都内に出にくい」という意見はあったものの「家に帰りやすい」という評価が高いという。


 森ビル(株)都市開発本部計画企画部統括部長補佐計画推進部部長の大森みどり氏は、「六本木ヒルズ」での子育て向けの取り組みや、同社開発のオフィスにおける女性が働きやすい環境作りについて解説。トイレのバリューアップに始まり、ランチタイム交流イベントや育休からの復職応援、ワーカーCS活動などハード・ソフトの両面からの取り組みを披歴したほか、自社のオフィスビルで働く女性へのアンケート結果を発表。女性ワーカーの75%が都内勤務で、「バリバリ働くには、オフィスの近くに住まざるを得ない」としたほか、子供のいるワーカーの77%が「仕事を続けたい」であり、77%が「家族との時間が不足」「自分の時間が不足」「子供のしつけ」などを理由に「仕事を辞めたいと思ったことがある」と回答したことや、出産後「管理職」や「チームリーダー志向」が減少するなど、時間の不足により仕事とプライベートの両立やキャリアアップが難しくなっていることを指摘。「多様なオフィス環境の整備や複合型開発によるサービス連携の充実による時間不足への対応、質の高いワーカー向けの保育+教育施設の充実など子育てのクオリティなどへの取り組みが必要」とした。


 委員からは「大企業ならではの取り組みの中で、どのようなものが中小業者でも生かせるかを考えていく必要がある」「5,000人もの社員がいる大企業が都心から離れた地に本社を移転できるということは、どんな企業でも可能だという事」などの指摘があった。


 次回は4月10日、「働き方や暮らし方の多様化と不動産のあり方」について議論する。



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