不動産ニュース / 調査・統計データ

2007/12/11

東武東上線沿線のマンション、グロス価格設定が決め手に/トータルブレイン調査

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「首都圏沿線市場シリーズ 東武東上線沿線市場」と題したレポートを作成した。池袋から朝霞、川越などを経て埼玉県南西部を縦断する同線のマンション市場の現況と今後の市場見通しなどについて考察したもの。

 同線の1995年~2006年の新規分譲マンション市場を、都心からの距離圏別に見ると、10km圏は、平均年間供給量は887戸、平均価格 3,912万円、平均専有面積66.95平方メートル、平均坪単価194万円、初月成約率は68.2%、05年~07年の単価上昇率14.7%。
 20km圏は、供給量664戸、平均価格3,629万円、平均面積72.64平方メートル、坪単価165万円、成約率76.9%、単価上昇率9.4%。30km圏は、供給量751戸、平均価格3,290万円、平均面積73.62平方メートル、坪単価148万円、成約率61.8%、単価上昇率25.2%。
 40km圏は、供給量156戸、平均価格2,701万円、平均面積73.35平方メートル、坪単価122万円、成約率69.9%、単価上昇率8.6%。販売価格は、全エリアとも大底(10キロ圏・2000年、ほか03年)から20%~29%の上昇傾向にあるが、20km圏を除いて売行きは全体的に低調だった。

 マンション市場について、沿線全体の特徴をみたところ(1)供給が急行停車駅に集中し、供給過剰感から完成在庫が多い、(2)近郊部(20km圏)のバス便物件、郊外部(30km圏)では徒歩10分圏物件も売れ行きが悪く相当の割安感が必要、(3)郊外部では、単価の上昇にもかかわらず面積の縮小が見られず、グロスのミスマッチが起こっている、(4)沿線民力が高くなく、顧客の買い上がり(価格の上昇を取得の上昇等で吸収できる)が期待できない、などがわかった。

 これら市場動向の分析を経て、同社は「民力が他線と比べても若干低めなため、エリアの購入体力を意識したグロス価格の設定が必要」とした。

 また、「2008年6月に、(相互乗り入れする)東京メトロ副都心線が開業し、線のポテンシャルは向上する」としたが、「評価されるまでには時間がかかるため、当面は沿線評価アップに伴う市場の上昇期待よりは、マーケットが沿線地元中心で地元の民力が向上していないことを理解した商品づくりが成功のポイント」と警鐘を鳴らしている。

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