不動産ニュース / その他

2009/4/2

不動産各社で入社式

 新年度を迎えた1日、不動産各社においても新たに不動産業界の一員となる新入社員を迎え、入社式が行なわれた。以下、各社入社式での社長あいさつの要旨。

■三菱地所(株)取締役社長 木村惠司氏
■森ビル(株)代表取締役社長 森 稔氏
■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏
■三井不動産販売(株)代表取締役社長 佐藤 実氏
■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 岩尾 崇氏
■住友不動産(株)代表取締役社長 小野寺研一氏
■森トラストグループ代表 森 章氏
■(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏
(順序不同)

■三菱地所(株)取締役社長 木村惠司氏

 世界的なマクロ経済悪化の影響が日本の実体経済に波及し、今後回復までには相当の時間を要するものと思われる。しかしこのような環境下であっても、悲観的になり過ぎず、中長期的な視点に立って、将来に向けた準備を進めていかなくてはならない。
 本日から仕事に取り組むにあたり、各自の業務の一つひとつが組織において重要な仕事であり、自らの成長の場であるという認識と誇りを持ち、次の3つを大切にして業務に臨んで欲しい。
 (1)インテグリティ、コンプライアンス:社会やお客さまに対し誠実な行動を心掛け、いっそうの信頼を得られるよう努力して欲しい。コンプライアンスは単に「法令順守」という意味ではなく、お客さまや社会のニーズを捉え、応えていくことだという認識を持って欲しい。
 (2)チームワーク、アスワンチーム:一人の力には限界がある。個々の力を伸ばし自立することに加え、仲間を信頼し思いやりながら連携し、組織としての力を発揮していくことを心掛けて欲しい。
 (3)チャレンジ志向:本質的な価値を追い求め、失敗を恐れず若い力を存分に発揮し、新しい発想でチャレンジを続けて欲しい。
 世界的な視野を持ち、論理的な思考と実行力、そしてコミュニケーション力を備えた人材をめざし、世界を舞台にする不動産プレーヤーとして活躍することを期待している。
 

■森ビル(株)代表取締役社長 森 稔氏

 森ビル創立50周年という特別な年に、大変な競争を勝ち抜いた精鋭の諸君の入社を心から歓迎します。
 現在、世界的な大不況の時代に遭遇していますが、これまでの50年を振り返ると、われわれの事業は、不景気の時期にまとまって前進してきた歴史があります。われわれは、今回もピンチではなくむしろチャンスと捉え、積極的に舵をとっていきたいと思っています。
 知識情報化社会に相応しく、安全で環境に優れ、タイムリッチな街づくりにより、世界から人・モノ・金をひきつけ、東京がアジアの、そして世界の中心となる。
 そのためには、われわれがかねてより提案する「ヴァーティカルガーデンシティ(立体緑園都市)」の実現が必要です。この街づくりに成功しなければ、長期的に安定した日本経済を実現することもかないません。いわば、われわれの成功が、東京ひいては日本の成功に直結するという強い気持ちを持って、今こそ、「グリーン・アーバン・ニューディール」を実行に移すときであり、ここに改めて、われわれが、これからの新しい世界の都市モデルづくりを着々と進めていくことを宣言します。
 森ビルは常に新しい夢を追いかけ続けています。街づくりという、これからの日本にとって非常に重要で責任ある仕事を進めるなかで、果たすべき目的をしっかりととらえ、その達成のために、常に自ら問題設定しながら積極的にチャレンジする。この繰り返しが、自然と皆さんの能力開発にもつながり、そして、その蓄積が必ずや、会社ひいては社会に貢献する人間への成長へとつながるでしょう。森ビルの次なる50年を見据え、新入社員諸君の大いなる活躍を期待しています。

■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏

 皆さん入社おめでとうございます。
 世界景気の急速な悪化に伴い、日本経済も景気後退が鮮明となっており、当不動産業界の事業環境も大きく変化している。こうした厳しい環境の今こそ、「お客さま第一」の精神に立脚し、「マーケットイン」「顧客視点での事業展開」に真摯に対応していかなくてはならない。そして、過去の歴史に甘んじることなく、刻々変化し続ける市場のニーズを迅速・的確に把握し、時代を先取りした事業推進を図ることで、当社の企業理念「信頼を未来へ」を体現する担い手となってもらいたい。
 これらを肝に銘じ、この大変転のときに、既存の秩序の中に押し込められることなく、有意な自己実現を可能とするために、次の3点、即ち、
 第一に、「本を読み活字との縁を切らないこと」
 第二に、「人との出会いを大切にし、広く深い交友関係を維持発展させること」
 第三に、「自分の責任で心身の健康管理を怠らないこと」
 を励行してほしい。

■三井不動産販売(株)代表取締役社長 佐藤 実氏

 皆さん、入社おめでとうございます。役職員を代表して皆さんを心から歓迎するとともに、お祝い申し上げます。
 皆さんが社会に乗り出そうとしている2009年は大変厳しい事業環境ではありますが、 だからと言って下や後ろを向くのではなく、より大きな視野で考え、外需依存型の日本経済において、内需の柱として期待されている不動産業に携わる者として、確かな需要の存在する不動産の流通を通じて日本経済の活性化や不況脱却に貢献するという気概を是非持っていただきたい。また、このような時こそむしろチャンスと捉え、体質を変え、体力を付け、さらなる飛躍に備える好機というポジティブな気持ちを持つことが重要であります。皆さんの若さによる柔軟な発想と行動力に期待しています。
 “良い会社”とは、規模の大小、安定性、成長性などさまざまな指標がありますが、いずれも「その会社の提供する商品やサービスがお客さまに選ばれる」ということの結果であり、また、「選ばれ続ける」ことの結果であると考えます。そして、それは「安心」「安全」「信頼」の上に成り立っています。「三井のリハウス」が22年連続で全国仲介取扱件数NO.1を続けているのは、一生に幾度と無い大事な取引を任せられる「信頼」のおけるパートナーとして「選ばれ続けている」結果です。「三井のリパーク」が大きな成長を遂げているのも、“清潔”で“駐めやすい”というコンセプトが、お客さまに「選ばれた」結果であります。
 当社は、お客さま満足度の高さと企業業績は比例するという信念のもと、お客さまのニーズを感じ取り、業務改革やサービスの質の向上に繋げていくことを理念としている会社だということを覚えておいていただきたい。
 最後に、新入社員の皆さんには、(1)自ら考え行動すること、(2)社会人として健全な常識を持つこと、(3)謙虚であること、(4)健康であること、を心掛けていただきたいと思います。そして、不動産流通事業や駐車場事業という社会的意義が大きく、成長性の高い仕事に携わることに誇りを持ち、自己研鑽を積んで自己成長し、充実した会社生活を送っていただきたいと願っております。


■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 岩尾 崇氏

 入社おめでとうございます。長谷工グループを代表して心より歓迎いたします。
 入社を決められた約1年前に比べ環境は激変しました。このような大変な時こそ経済・社会情勢を正しく認識し、皆さんの若い力で希望・勇気をもって新しい時代を切り開いて欲しいと思います。
 そして会社・グループのことを良く理解してください。私たちはグループ全体の力を合わせて「住まいのオンリーワン・グループ」をめざして活動しています。土地情報の取得から企画・設計、施工、販売、管理、賃貸まで行なう独自のビジネスモデルがあり、それぞれが重要な役割を果たし関わりをもっています。そのことを良く理解し、会社の壁を作らずにグループの連帯感、即ち「和」の精神を持って一日も早く活躍されることを期待します。
 社会人の心構えとして、
1.法令、ルールはもとより、約束を守り信頼される立派な人間・社会人になっていただきたい。
2.働くことの意義は、自分自身のため、会社のため、社会のためということを自覚していただきたい。
3.常に謙虚に学んでいただきたい。学ぶときの姿勢として、3つの「コウ」(向上心、好奇心、考働)を心掛けていただきたい。
4.体と心の健康に十分留意していただきたい。人間のパワーは(気力+体力)×知力です。
5.自分自身の「夢」を描き、その実現に向けて努力を継続していただきたい。
 最後に日常の行動指針として、
1.挨拶の励行。笑顔で自ら行なってください。
2.3つのワーク(フットワーク・ヘッドワーク・ネットワーク)を心掛けてください。
3.「失敗は成功の母」です。失敗を恐れずに常に前向き、積極的に行動してください。
4.「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を実行してください。特に悪い情報の報告は速やかに行なってください。
5.3つの「シン」(信用、信頼、自信の「信」、感謝の心、思いやりの心の「心」、日々新たに温故知新の「新」)を常に心がけて行動してください。
6.グループの「和」を意識してください。皆さん一人ひとりが100%の力を発揮し、一致団結することで更に大きな力を発揮することができます。
 以上の話から自分なりに吸収、活用し、一日も早く皆と共に働ける喜びを味わっていただきたい。


■住友不動産(株)代表取締役社長 小野寺研一氏

 皆さん、住友不動産グループへのご入社おめでとう。
 ほぼ昨年並みの418名の新入社員を迎えたのは、当社グループの最大の特色である「成長力」を支える一員として皆さんを採用したのであり、一日も早く一人前になって欲しい。
 ところで、現在の経済情勢は、アメリカのサブプライローンに端を発した経済危機の真っ只中にあり、H10/3期以来11期連続増収増益を達成して来たが、さすがにH21/3期は前期を下回らざるを得なかった。しかし、経常利益は1,130億と史上2番目の実績を残している。今後は予断を許さないが、目下、グループの最大の特色である成長力を早急に回復するため全社一丸となって取組んでいるところである。
 まず、当社グループのモットーをよく理解し、実行してほしい。
 「快活な気風―率直な提言」「高い目標―現状の改革」「新しい発想―新分野の開拓」の3つである。中でも強みは、経営陣と社員との距離が非常に近いことであり、厳しい中にも温かみのある人間関係を築ける事である。仕事の前では、社長も新入社員もない。会社のために大いに発言してほしい。
 最後に、私が常々考えている心構えが3つあるので、この機会にお話ししたい。一つ目は、「ルーツを辿れ」という事。(原点に立ち返ると物事の本質が見えてくる。)二つ目は、「人の話をよく聞く」という事。三つ目は、「指示待ち族になるな」という事。
 伝えたい内容は以上である。皆さん、チャレンジ精神で頑張って行こう。


■森トラストグループ代表 森 章氏 

 百年に一度と言われる地球的規模の金融危機が実体経済に波及し、特に日本では、戦後続いてきた社会制度上の問題や輸出依存型の産業構造も相まって、深刻なマイナス成長に陥っている。厳しい環境ではあるが、一方で、これから迎える新時代に合った社会・産業構造を構築する好機とも言える。内需拡大型の産業構造にシフトし、ヒト・モノ・カネが世界から集まるような魅力的な国づくりを行なう必要がある。環境問題の進行や技術革新の速度も速い。既存の収益構造が激変する事が予測されるとともに、新たなビジネスチャンスもどこに生まれるか分からない、目まぐるしい時代になると捉えている。

 森トラストは、これまで成長性・安定性・収益性のバランスをとった経営で、無理のない成長を行なってきた。時代の変化に応じた新たな商機を狙える、比較的安定したポジションは構築できている。しかし、変化の時代は、勝ち組といえども地位が保証されるわけではない。森トラストがこれまで築いてきた立場を活かし、企業として新たな発想を積極的に取り入れ、新時代のビジネスモデルをグループに取り込む方針でいる。

 今年度入社される皆さんは、厳しい時代であると同時に、社会・産業構造がドラスティックに変化していく歴史的な年に入社している。各人の専門性を切り口にしつつも、経済の変化や会社全体を常に意識し、総合的な力をためて向上していく必要がある。スピードが求められる時代の中で、即戦力となる気概を持ち、前例にとらわれることなく、積極的・能動的に、何が会社や事業にとって良いかを考えて頂きたい。一人の力だけでなく、チームで取り組む事も大事である。さまざまなことに関心を持ち、情報を収集し、思いついたことは多面多角的に研究し、自ら理解し、他を納得させる説得力を身につけ、実現させていく実行力を持つことも期待している。

 これまで社会に有益な事業を手がけてきた森トラストだが、この厳しい時代に、新たなビジネスモデルを創造し、社会の役に立つ森トラストグループとして、共に発展をめざしていきたい。


■(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏

 本日は、ご入社おめでとうございます。まずは、心からお祝い申し上げます。若い、バイタリティーにあふれたみなさんを迎えるにあたりまして、私も大変楽しみにしていました。

 今後、日本の人口が減少していくなか、世帯数は2015年をピークに減少していくと予測されており、住宅業界の市場規模はどんどん縮小していきます。また、「100年に一度」といわれる大不況の中、一人ひとりの価値観も多様化しています。日本のビジネスの世界においても、すでに業界を問わず大手の会社同士の再編が起こってきています。

 そのようななか、当社は昨年創業30周年を迎え、これまでに試行錯誤、七転八倒して家づくりに関わるさまざまなことに取り組んできました。ものづくりの本質、企業の本質、組織の本質を考えてきた結果、やはり「ひと」が大事だと思います。

 そこで皆さんには「一人ひとりが【本物】になる」ということを仕事をしていく上での心構えとしていただきたいと思います。強い思いを持ち、その実現に向かって積極果敢に挑戦する人になら、失敗しても、それは価値のあることです。そして偶然を必然に変える能力を身に付けてください。何かにトライして、うまくいったときには「なぜうまくいったのか」を考える。失敗したら「なぜ失敗したのか」と考えることが重要です。一人ひとりが思いを持って、考え挑戦し必然を作れる人になって下さい。

 また、私は技術系の人だけではなく、営業も管理部門も含め、住宅に携わる全ての人が“匠”であると考えています。“匠の心”を持って、当社のミッションである「日本の住まいを安くする」の実現のため、適正価格で本物の家作りを一緒にめざしていただきたいと思います。
 皆さんはこれから、人や仕事を通じて自分を伸ばしていく機会に数限りなく出会うはずです。そんなとき、自分の限界に挑戦していかないかぎり、人間としての成長はありません。新しいことに挑戦すれば、傷を負うこともあるかもしれません。どうかそれを恐れず、挑戦し続けてください。

 皆さんが、このアキュラホームというフィールドで自分を磨き、『本物』になり、皆さん自身の夢を実現してくれることを期待しております。

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