不動産ニュース / 不動産金融・証券化

2009/8/27

不動産市場安定化ファンド、9月5日の設立に向け、準備着々

 国土交通省は27日、不動産市場安定化ファンドの設立・運営に関する検討委員会を開催した。

 不動産市場安定化ファンドは、投資法人債の償還リスクを軽減するため、既発の投資法人債のリファイナンス資金として貸し付けることで、JREITに不動産の買い手としての機能を回復させ不動産市場の安定化と資産デフレの防止を図ることが目的。

 同委員会の最終回となる第4回目の今回は、同ファンドのスキームやストラクチャー、貸付ガイドラインなどの最終とりまとめ案が承認された。

 また、アセットマネジャーのDBJ野村インベストメント(株)より、実績のある金融機関に対し個別にシニアローンへの参加要請を行なっていること、また、8月21日時点で約300億円のエクイティ出資申込みがあること、JREIT向け説明会を開催するなど周知活動を行なっていることなどが報告された。
 なお、9月5日を効力成立日とするLPS契約を9月4日に実施することも併せて連絡された。
 事実上、同ファンドは9月5日に成立することになる。

 貸付ガイドラインに盛り込まれた同ファンドの運営方針・貸付条件(抜粋)は下記のとおり。

■資金使途:2009年9月1日以前に発行されている投資法人債のリファイナンス資金(つなぎ融資含む)。その他、やむを得ない事情が認められる場合、既存借入リファイナンス資金、投資法人同士の合併再編に必要な資金などの資金使途も許容

■対象投資法人選定要件:(1)借入後のLTVが65%以下、(2)既存貸付人との取引状況が著しく悪化しておらず中長期的には資金繰りに潜在的リスクがないこと、(3)既存貸付人と将来の取引方針が確認されていること、(4)資産運用会社の運用能力劣化により取引状況が悪化した事実や、資産運用会社が過去に行政処分または行政指導を受けたことがないこと、(5)保有不動産等に重大な法令違反がないこと

■貸付不能理由:(1)直前の事業年度でNOIが赤字、(2)直前の事業年度において債務超過、(3)既存借入または発行済み投資法人債に、期限の利益損失事由が発生、(4)既存借入または発行済み投資法人債に、潜在的期限の利益損失事由が発生、(5)金銭消費貸借契約または発行済み投資法人債の要項に定める財務制限条項に抵触、(6)金銭消費貸借契約または投資法人債の要項に定める誓約事項の違反が発生している、(7)資産運用会社が過去に行政処分、行政指導を受けたことがある場合(再発防止策が講じられている場合を除く)、(8)重大な法令違反がある不動産を保有している

■貸付可能金額:原則として、投資法人の総有利子負債残高の50%相当額を超えないこと

■同ファンド貸付以外の資金調達について:原則として、主要金融機関からの融資や自己資金等による資金調達も併せて行なうこと

■貸付期間:原則3年以内(最終の元本返済期日は平成27年3月末日)

■返済方法:減価償却費の範囲内で約定返済、元本返済期日において残額を一括返済

■ベースレート:3ヵ月TIBOR

■ローンスプレッド:当初のスプレッドは、LTV水準、資産規模、P/NAVに応じて1.5~4%、加算スプレッドはP/NAVに応じて0~1.5%

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年6月号
「特定空家」にしないため…
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/5/5

「月刊不動産流通2024年6月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年6月号」の発売を開始しました!

編集部レポート「官民連携で進む 空き家対策Ⅳ 特措法改正でどう変わる」では、2023年12月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」を国土交通省担当者が解説。

あわせて、二人三脚で空き家対策に取り組む各地の団体と自治体を取材しました。「滋賀県東近江市」「和歌山県橋本市」「新潟県三条市」「東京都調布市」が登場します!空き家の軒数も異なり、取り組みもさまざま。ぜひ、最新の取り組み事例をご覧ください。