三菱地所(株)は5日、「三菱一号館美術館」の開館に先立ち、報道関係者向けに事前内覧会を開催した。
「三菱一号館美術館」は、三菱が東京・丸の内に建設した初めての洋風事務所建築で、1894年に日本政府が招聘した英国人建築家ジョサイア・コンドルが設計した「三菱一号館」を復元したもの。19世紀後半の英国で流行したクイーン・アン様式が用いられた三菱一号館は三菱合資会社の銀行部が入っていたが、老朽化のため1968年に解体されていた。
復元にあたっては、明治期の設計図や解体時の実測図の精査に加え、各種文献や写真、保存部材などに関する詳細な調査を実施し、階段部の手すりの石材など、保存されていた部材を一部建物内部に再利用している。
三菱地所(株)街ブランド企画部長・三菱一号館美術館室長の恵良隆二氏は会見の席で、「当社が2002年より推進している丸の内再開発が第2ステージに入った。第2ステージのテーマは環境共生と都市文化の構築。
三菱一号館を復元することは、丸の内の原点を確認することにもなる。文化を蓄積するという意味でも、この復元した三菱一号館を美術館にすることで、都市文化の過去と未来をつなげていけたら。
また、都市文化の集積拠点として、まちの回遊拠点となることはもちろん、オフィスワーカーにクリエイティブな空間を提供できることにも意義があるのでは」などと話した。
また、同館館長の高橋明也氏は、「当館のオープニング展示が『マネとモダン・パリ』というコンセプトで企画できたことは感慨深い。マネは作品数こそ少ないが、マネの存在がなければ、後の印象派やポップアートも出現しなかったと認識している。
当館は小さな部屋が20室ほどあるが、その部屋ごとに雰囲気が浮き出すように作品構成を考えていった。
なお、絵画の輸送の任にあたった各国のクーリエが、この空間のすばらしさ、特に低い照度ですみずみまで見ることができる光のシステムがすばらしく、自分の美術館では気づくことのできない筆のタッチや色彩を感じることができると絶賛してくれている。ぜひそのあたりもご覧いただきたい」と話した。
三菱一号館美術館は4月6日に開館、7月25日まで「マネとモダン・パリ」を展示する。
なお、開館記念として、同展チケットの提示で対象店舗にて各種サービスを受けられる「マネ得チケットサービス」を実施するほか、丸の内ブリックスクエア各店で限定商品や限定メニューを用意する「丸の内ブリックスクエア限定品フェアー」も実施する。
美術館の概要は下記のとおり。
■三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:[水~金]10~20時、[火・土・日・祝]10~18時
入館料:展覧会により異なる