(独)産業技術総合研究所(以下、産総研)はこのほど、障害者が各種の福祉機器を組み合わせることで一体的に取り扱うことのできるシステム構築技術を開発、障害者の一人ひとりに対応する住環境モデルの提案と実証実験を実施した。
同取組みは、スマートグリッド通信制御連携研究体、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、(株)ミサワホーム総合研究所(以下、ミサワ総研)と共同で実施したもの。
現在、福祉機器の多くは障害者の個々の状況に合わせた機能を持つシステムとして開発されるため高価で、障害者の生活の質の向上を阻害する問題の一つになっている。
一方、近年ネットワーク技術が進み、一体型の機器でも機器内部にネットワークが用意され、モジュール化された各機能が機器内部のネットワークを介して接続された構成になりつつあり、こうした機器では新製品の開発が容易で、コストが削減できることから、この概念を福祉機器開発に導入し、福祉機器を安価に提供することで、障害者の生活の質を高めようというもの。
具体的にはジェスチャー入力装置、音声入力装置を通じて、歩行困難な肢体不自由者を支援する住環境モデル、脳卒中後遺症による脳機能障害者の調理訓練を支援する住環境モデル、視覚障害者を支援する住環境モデルを構築した。
今後、障害者に限らず、高齢者や健常者の生活の質を向上できるシステムを手軽に構築でき、安価に購入できる技術開発および標準化活動を進めていく方針。
なお、ミサワ総研では、住宅の間取りも能動的に変化させ、障害者に合わせた住環境が提供できる「RT住宅」といった次世代住宅モデルを開発していく考え。