(株)住信基礎研究所は20日、「不動産私募ファンドに関する実態調査(2010年7月)」を発表した。
同調査は03年より行なっているもので、今回で10回目。国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社144社に対し10年7月にアンケートを送付、69社から回答を得た。有効回答率は47.9%。
それによると、10年6月末の不動産私募ファンドの市場規模(運用資産額ベース)は15.0兆円。前回調査09年12月末時点の運用資産額13.9兆円より半年で1兆488億円増加した。
09年末頃から不動産取引量が増加傾向に転じるなど、市場環境が徐々に改善。新規にファンドを組成して物件を取得し運用資産額を増加させた運用会社もあるなど、08年以降、ほぼ横ばいで推移してきた市場規模が増加に転じた。
実際、回答企業66社の30%にあたる20社が、10年1~6月末までに新たにファンドを組成している。
一方、同期間にファンドを組成しなかった70%の企業は、その理由として「エクイティ投資家が集まらないから」(26%)、「しばらく組成を見送る方針であるから」(20%)などと回答している。
ちなみに、09年7月調査では、ファンドを組成しない理由として「不動産価格は今後まだ下がり、買い時ではない」(14%)、「デット調達が困難」(24%)が多く挙がっていたが、今回調査では、それぞれ7%と9%になっている。
なお、デットの資金調達状況について、「改善した」が13%、「多少改善した」が67%を占め、「更に厳しく」は回答がなかったことから、デット資金調達状況の改善傾向はさらに鮮明になったと同社は分析している。
同調査の詳細は、同社ホームページを参照のこと。