不動産ニュース / 政策・制度

2014/10/14

不動産価格指数、「商業用」試験運用に向けての検討開始/国土交通省

 国土交通省は14日、「平成26年度不動産価格指数(住宅・商業用不動産)の整備に関する研究会」(座長:清水千弘麗澤大学経済学部教授)の初会合を開いた。

 同研究会は、同省が日本銀行、金融庁、内閣府、総務省、法務省等と連携し開発、2013年8月より試験稼働・公開している、国際指針に基づく不動産価格指数(住宅)について、本格的な運用開始に向けた試験運用の結果に基づく改善や、現在IMF(国際通貨基金)等で国際指針の作成が進められている不動産価格指数(商業用)についての検討を行なってきた。

 今年度は、住宅用不動産価格指数の年度内本格運用と、商業用不動産価格指数の年度内試験稼働に向けた検討を行なう。

 住宅用の価格指数は、本格運用に向け(1)住宅と商業物件との分離、(2)更地と建物付土地の分離、(3)「異常値」処理の厳格化、などがテーマとなる。試験運用中のアンケート調査票形式の変更や電子化対象項目の変更で、取引月から3ヵ月後の速報段階での更地と建物付き土地の分離や建物用途の判別が可能になったため、本格稼働でも商業用不動産を除く更地、建物付き土地、マンション系列の価格指数を、取引月から3ヵ月後に公表する方針。
 本格稼働にあたっては、基準時点(現在は、08年4月~09年3月までの算術平均値を100とした値)を変更するか、加重平均に用いる「ウエイト」(現在は毎月の取引総額)をどう設定するか、季節調整や確報版指数の必要性、データのさらなる過去遡及等について検討を行なっていく。

 一方、商業用については、試験稼働に向けた価格指数の算出方法を中心に議論していく。算出手法については「ヘドニック法」(不動産の取引価格を土地建物の属性情報により説明する回帰モデルを構築し、品質調整済の指数を算出する)が有力視されているが、これに加え「リピート・セールス法」(同一物件が複数回取引された場合、取引価格の変化により指数を算出する)も可能性を検討していく。ただし、リピート・セールス法での算出は、複数回取引がなされた物件に限定され、利用可能データが極端に減少することから、同法による安定的な指数算出のためには、さらなるデータ蓄積が必要とされた。
 また、利用するデータについては、不動産登記データ、アンケート調査票に加え、網羅性・正確性の高さを実現するため「JREIT開示情報」のうち、信託受益権の取引データも利用するとした。さらに、公的物件の取引や競売物件の取り扱い等についても検討する。
 
 研究会の冒頭挨拶に立った座長の清水千弘氏は「商業用不動産価格指数については、まだ国際指針が出ていないこともあり、その定義等が確定していない。推計手法やターゲットをどうするかなど多くの点で問題があり、年度内の試験稼働までの限られた時間で検討を進めていかなくてはならない」等と語った。

 次回会合は、15年1月の予定。

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