(一財)ベターリビングは5日、すまい・るホール(東京都文京区)でシンポジウム「『住まいと健康』を考える」を開催。住宅の部分断熱リフォームが高齢者の健康に好影響を与える、という調査結果を報告した。
同調査は、2011年度に設立した「健康長寿住宅エビデンス取得委員会」が、高齢者が住んでいる築20年以上の住宅を対象に実証実験を行なったもの。4年にわたり、39軒50人超を対象に、住宅を断熱リフォームし、改修前と改修1年後の健康指標の変化を検証した。
第1部では、医学および建築の学識者による同調査の報告が行なわれ、断熱改修工事前後で、居住者の血圧を調査(機器による24時間連続測定と1日5回の自己測定)したところ、いずれも血圧が低下し、心血管疾患のリスクが下がったことが報告された。また、起床後の血圧上昇(モーニングサージ)が強くみられる人に改善がみられたほか、アレルギーの症状も軽くなるなど、温熱環境の改善が健康と関係があることが明らかにされた。
第2部では、実証実験成果を踏まえ、(独)建築研究所理事長の坂本雄三氏、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所副所長の高橋 龍太郎氏らにより、健康向上に役立つ断熱リフォームを広めるために必要なことについて、ディスカッションが行なわれた。
ベターリビング理事長の那珂 正氏は「住宅ストックの4割は断熱性能がないとされている。冬でも暖かい家で暮らすことは高齢者の健康維持につながるという、大変画期的な成果が出た。リフォーム会社の方などに、この調査を今後の事業展開に活かしていただきたい」などと語った。