不動産ニュース

2015/3/18

「平成27年地価公示」、各社・団体トップがコメント

 国土交通省が18日に発表した「平成27年 地価公示」結果について、業界団体・企業のトップから以下のようなコメントが発表された(以下抜粋、順不同)。

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏
(一社)不動産流通経営協会 理事長 竹井英久氏
(公社)全日本不動産協会 理事長 林 直清氏
三井不動産(株) 代表取締役社長 菰田正信氏
三菱地所(株) 取締役社長 杉山博孝氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏
東急不動産(株) 取締役社長 三枝利行氏
野村不動産ホールディングス(株)  取締役社長 中井 加明三氏
東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏


◆(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏

 平成26年1年間の全国の地価は、住宅地については下落率が縮小、商業地については横ばいに転換となった。住宅地においては、景気回復基調に伴い、低金利や住宅ローン減税等の施策によるほか、株価上昇や相続対策による共同住宅等へ住宅需要が増加している。また、商業地においても景気回復基調が続いており、下落率の縮小や上昇の継続が見受けられており、三大都市圏平均については、住宅地、商業地とも上昇を継続している結果となった。

 このような中、本会は税制や政策に対して様々な提言活動を行ない、平成27年度の税制改正大綱では、住宅取得資金等贈与制度の拡充や中古住宅の買取再販に係る不動産取得税の軽減措置、特定事業用資産の買換特例制度、固定資産税の負担調整措置、その他各種特例措置の適用期限延長等、本会が重点的に要望した事項は、ほぼ満点に近いかたちで改正案に盛り込まれることとなった。

 なお本会では、「ハトマークグループビジョン」として“地域の笑顔”を目指しており、政府の進める地方創生とも通じるものである。資産守りの担い手として空き家対策に率先して取り組むほか、中古住宅活性化の一環として、買取再販に係る特例措置の拡充等、政策要望活動を行なっていきたい。


◆(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏

 平成27年の地価公示は、全国平均では商業地において下落から横ばいに転じ、三大都市圏では住宅地・商業地とも引き続き上昇するとともに、地方部でも下落率が縮小するなど、地価の回復の兆しをよりはっきりと感じることができるようになった。我が国の経済が緩やかに回復する中、三大都市圏を中心とした活発な不動産市場の動きを反映したものであるといえる。

 日本経済は、こうした回復の動きをより確かなものとし、デフレからの脱却と持続的な成長につなげていく真の意味での正念場を迎えている。引き続き、経済効果の高い大都市が国際競争力を高め、国全体の経済を牽引するとともに、都市と地方がそれぞれの特性を発揮して連携しながら全体の成長の実現に貢献していくことが重要だ。

 東京五輪という夢のあるビッグプロジェクトも控える中、その先も見据えた防災・環境に優れた都市づくりや豊かな住生活の実現等、不動産業界に期待される役割を果たすための取り組みを一層加速させることにより、貢献して参りたい。


◆(一社)不動産流通経営協会 理事長 竹井英久氏

 今回の地価公示をみると、地価は、全国平均では住宅地が下落率は縮小し、商業地は横ばいに転換した。三大都市圏平均では、住宅地、商業地ともに上昇を継続、また地方圏では住宅地、商業地ともに下落率が縮小した。緩やかな景気回復基調が続くなか、低金利やローン減税等の政策による需要の下支えもあり、地価は全体的に回復基調が続いている。

 足元の中古住宅流通市場は、大変好調であった前年と比較して取引は停滞気味であるが、フローからストックの流れのなか、今後は景気回復に伴い取引が拡大していくことが期待される。

 現在、国土交通省においては中古住宅市場の拡大のための具体的な方策について検討が進められており、当協会も種々の委員会に参画し意見具申を行っている。また、当協会では更なる消費者への安心・安全な取引の実現に向けて、個人間売買の制度や仕組みについて、今の時代に合った新たなスタンダードづくりを進めている。今年度も、業界における不動産売買契約書式の統一化やマンション管理情報提供の拡充などを重点課題と位置づけ、消費者サービス向上のため様々な事業に取り組んできた。

 不動産流通市場が活性化することは、地価の安定的な回復を後押しし、わが国経済へも大きな波及効果をもたらす。今後とも、税制や制度面等において政府のご支援を引き続きお願い致したい。


◆(公社)全日本不動産協会 理事長 林 直清氏

 全国平均では、住宅地の下落率は縮小となり、商業地は横ばいとなった。

 圏域別では、三大都市圏の平均として、住宅地、商業地ともに上昇傾向を示しており、また地方中枢都市においても上昇傾向にある地点が増加している。

 要因としては、これまでの住宅ローン減税や低金利等の施策が一定の効果を上げているものと考えられるが、その一方で、依然として地方圏の7割弱が下落しているという状況にあることから、政府与党におかれては、引き続き、不動産需要の喚起に向けた効率的・効果的な政策の実施を期待するものである。


◆三井不動産(株) 代表取締役社長 菰田正信氏

 平成27年の地価公示では、昨年に引き続き地方圏においても上昇地点が増加、下落地点が減少しており、全国的に地価の上昇が継続している。

 首都圏のマンション市況については、建築コスト上昇の影響等から郊外部を中心に昨年比で供給量が減少しているものの、政策的支援や低金利等を背景に顧客の購入マインドは依然として高い。特に都心・湾岸物件の販売状況が好調で、市場は引き続き堅調に推移していくとみている。

 オフィスビルについては、好調な業績を背景として企業の事務所拡張と移転の動きが活発さを増しており、東京都心のオフィス空室率低下と平均募集賃料の上昇が続いている。また、地方都市においても、拠点拡充の動きなどから空室率の低下が進み、全国的にオフィス需要が高まっている。BCP対応への意識の高まりにより防災・省エネ対策に優れたビルへのオフィス移転ニーズは引き続き高く、今後も企業業績の向上や人員増加によりオフィス需要のさらなる拡大が期待される。

 不動産投資市場においては、実体経済の回復やオフィス賃料上昇等を背景とした不動産市況の先行きへの期待感などから、海外勢を含む投資家等の意欲が引き続き高く、企業の不動産取引はリーマンショック以前の高い水準となっている。

 当社グループにおいては、民間企業が成長の牽引役を担うとの認識のもと、「街づくり」を通して日本の国際競争力の強化に一層貢献していきたい。


◆三菱地所(株)取締役社長 杉山博孝氏

 平成27年の地価公示は、三大都市圏では住宅地・商業地とも引き続き上昇するとともに、地方部でも下落率が縮小するなど、地価の回復の兆しをよりはっきりと感じることができるようになった。

 当社オフィスビル事業においても、事務所拡張需要が顕在化し、空室率が低下し賃料の改善が見られている。旺盛なオフィス需要を受け、3月末時点の東京・丸の内における空室率は2%程度となる見込みだ。賃料についても空室率の改善を受け、引き続きゆるやかな上昇傾向が継続している。

 住宅においても、景気の回復、デフレ脱却への期待感等により、都心部を中心に需要は引き続き旺盛で堅調に推移している。

 防災、環境に優れた安心で安全な魅力ある「まちづくり」を実現するため、今後も再開発を含めた都市再生の推進、良質な住宅供給・ストック活用等について、当社事業を通じて貢献していきたい。


◆住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏

 今回の地価調査では、三大都市圏で住宅地、商業地ともに2年連続の上昇となった。特に東京圏では、昨年に続き上昇地点が過半数を占めるなど、都心部の上昇傾向は顕著だ。

 東京のオフィスビル市場では、企業業績の回復を背景に採用増を見込んだ拡張移転や増床など前向きな需要が増加、空室率は着実に低下し、本格的な賃料上昇への期待が高まっている。一方、分譲マンションの売れ行きは、低金利や株高などに支えられ、足元では概ね堅調に推移しているものの、都心の販売価格は先高感が強く、今後の需要動向には注意が必要だ。建設費の高騰問題も依然として懸案であり、先行きは楽観できない情勢が続くだろう。

 政府には、地価の適度な上昇による経済の好循環を促すため、内需主導で実需重視の政策運営を期待したい。


◆東急不動産(株) 取締役社長 三枝利行氏

 今回の地価公示では、都市圏では住宅地・商業地ともに上昇が継続しており、地方圏においても下落率は縮小の傾向がみられた。これは、景気回復・株価の上昇も背景に、地価の回復基調がより鮮明になったものと捉えている。

 住宅市況は、都心エリアを中心に、住環境や交通利便性が良好なエリアは堅調な推移を続けている。オフィス、商業施設については概ね好調であり、賃料は上向いてきている。今年度の当社の竣工・開業物件である「新青山東急ビル」や商業施設「キュープラザ原宿」、リノベーションの複合施設「TENOHA代官山」においても強い引き合いを頂き、好調な稼働でスタートした。

 今後の地価動向に関しても、引き続き、都心部を中心に競争力が強いエリアが牽引する動きが続くとみている。当社では、開発の重点拠点のひとつと捉えている「広域渋谷圏」である、渋谷を中心とした青山・表参道・原宿・恵比寿・代官山といったエリアにおいて、魅力ある開発を続けることにより、継続的な都市の価値向上に尽力して参りたい。


◆野村不動産ホールディングス(株) 取締役社長 中井 加明三氏
 
 分譲マンション市場においては、土地価格、建築費の高騰により、都心部のマンションを中心に、価格は上昇傾向にあるものの、実需だけではなく、投資目的や相続対策による需要も増えており、高水準の契約率を維持している。また、多摩地域に代表される首都圏郊外エリアにおいても、再開発や大規模商業施設の進出により、生活利便性の向上が見られる住宅地を中心に需要は旺盛である。

 オフィスビル市場についても、空室率は低い水準で推移しており、賃料にも底打ち感が見られ、緩やかに回復してきている。

 今回の各地で見られる地価公示のトレンドは、最近の不動産市場の動きを反映したものであり、今後も不動産マーケットの中長期的トレンドの重要な指標として注視していく。

◆東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏

 今回発表された地価公示では、三大都市圏において、住宅地、商業地ともに上昇を継続しており、利便性や住環境に優れた住宅地では上昇基調が顕著であった。また、商業地では、堅調な住宅需要からマンション素地としての需要も見られ、商業店舗についても消費動向は堅調に推移した。これは、政府による経済政策や金融緩和などにより円安・株高傾向が継続したことにより、企業収益にも改善が見られ、経済の緩やかな回復が続いていることのあらわれと思われる。

 不動産市場では、住宅分譲においては、建築費高騰や用地取得競争の激化等の懸念材料はあるものの、低金利の継続等もあり、契約率は引き続き堅調に推移した。オフィス賃貸においては、都心部において空室率が一段と低下し、一部では賃料水準の上昇が見られるなど、回復への動きが継続した。また不動産投資市場においては良好な資金調達環境を背景とした積極的な物件取引が続くなど、活発に推移した。

 今年度より5年間にわたる新グループ中期経営計画「次も選ばれる東京建物グループへ」を策定。当社グループの多様な事業の有機的協働により、ハードだけではなく上質なソフトやサービスを追求することで、高度化・多様化する顧客のニーズに応えたい。

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