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2016/1/29

全国の郊外団地の再生・流通活性化事業者が一堂に会したシンポ開催

各地の団地再生プレイヤーが登壇したパネルディスカッションの様子
各地の団地再生プレイヤーが登壇したパネルディスカッションの様子

 28日、国土交通省が3年にわたって展開してきた補助事業「住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業」採択者32事業者が一堂に会し、シンポジウムを開催した。

 同事業は、住宅ストック活用・リフォーム推進事業の一環で、空き家問題等を抱える郊外型住宅団地を対象として、既存住宅の売買や賃貸化による利活用に向けた取り組みを実施する者に対し、国が必要な費用を補助するもの。平成25年度よりスタートし、今年度で最終年度となることから、情報共有を目的としたシンポジウムを開催。代表事業者による取組内容の発表やパネルディスカッションを実施した。

 小田急電鉄(株)や名張中古住宅流通促進協議会など6事業者が、事例を発表した。
 小田急電鉄は、郊外に位置する「座間」駅前の団地型社宅の再生事例を紹介。住戸のリノベーションのほか、共用部には子育て支援施設、貸し農園、ドッグラン、カフェを設置した同団地には、同団地のコンセプトに共感した人が都心部からも多く集まり、ほぼ満室状態だという。
 三重県名張市の宅地建物取引業者、建築業者などからなる名張中古住宅流通促進協議会は、地域の自治会や宅建業者組織等と協働して、空き家調査や空き家相談会の開催、インスペクション、リフォーム工事を通じて流通促進を図った。若年者世帯への成約など団地活性化に寄与できたとした。

 パネルディスカッションには、事例発表者等のほか、同事業の評価委員会委員長を務めた大村 謙二郎氏(筑波大学名誉教授)や同会委員の長谷川 洋氏(国土交通省国土技術政策総合研究所住宅研究部住宅性能研究官)がコメンテーターとして登壇し、団地の注目点とその活用方法、事業を通じて発見したことなどについて話し合った。「単なる住宅再生ではなく周辺地域も意識したまちづくりとして進めていくべき」「団地を素材として認識し多用途な活用が必要」「地域性や個別性を意識したブランディング等が重要」「官民連携をはじめとしたさまざまな連携が重要」「居住者も取り込み、時間をかけての丁寧な事業展開が必須」などの意見が出た。

 なお、国交省では、同事業の後継事業として「住宅ストック維持・向上促進事業」を来年度より公募する予定。良質な住宅ストックによる市場の良循環を促す、維持向上・評価・流通・金融等の一体的な仕組みを行なう、宅建業者や工務店などの連携協議会に対して補助する。建物価値の維持向上に資する項目や、そのインスペクションの方法、実施時期の検討といった開発・普及に係る費用は1事業当たり上限2,000万円、インスペクションや住宅履歴の作成等の試行に係る費用は1戸当たり上限100万円の補助を予定している。

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