不動産ニュース / 開発・分譲

2021/10/22

新本社を“純木造”ビルに/アキュラホーム

木造の新本社ビルの外観イメージ
格子に組んだ木製の耐力壁を採用した内装イメージ

 (株)アキュラホームは21日、さいたま市西区に移転する本社の社屋を木造で建築すると発表した。

 2020年7月に社内外への感染被害抑止と従業員の安全・安心を考慮し、在宅勤務とIT化の推進により、全国の都市部オフィスを3年で7割再編することを発表。21年7月には、東京都新宿区の本社機能をさいたま市西区に移転することを決定した。移転先は、JR「大宮」駅から2kmの位置。敷地面積約8.944平方メートル。新社屋として地上8階建て(約6,000平方メートル)のビル等を建設する。

 近年、中大規模の木造建築物(非住宅)は増えているが、一般的に特殊な金物が必要であるなど、鉄骨造と比較してコストが高くなる傾向にある。また、面積や階数によっては耐火建築物になることから、設計・施工の難易度が上がるため、工務店での対応が難しく、普及にあたっての支障となっていた。
 そこで同社グループではこれまで一般流通構造材料と住宅用木材プレカット加工技術を採用することでコストを抑え、特殊な技術や資材を使用しない方法で、中大規模木造建築の普及実現に向けた取り組みを推進。2016年には埼玉北支店社屋を、17年にはつくば支店社屋を、特殊な金物を使用しない一般大工による施工で実現している。

 今回の新本社では、従来通り、一般流通構造材料と住宅用木材プレカット加工技術の採用でコストを圧縮。接合部を木組みで仕上げるほか、構造の一部を現しにすることで、“純木造”を実現。また、免震装置ではなく木材とビスで格子状に組み上げた「組子格子耐力壁」を用いて、耐震性を確保する。同社調査によれば「純木造で日本初の耐震構造ビル」であるとしている。高い耐火性能も実現していきたい考え。

 同ビルの建設にあたっては、木造軸組工法の応用により容易に施工できる手法を採用。同工法を広く普及させていく方針。今回は8階建てとしているが、地場の工務店が受注することを想定し、3~5階建てもしくは延床面積1,500平方メートルまでの木造中規模建築物の建設に応用できるような工法として周知していく。コストは坪当たり120万円以下、従来の同規模の木造建築物に比べて3分の2程度に抑える予定。工期も4分の3~3分の2程度に圧縮したい考え。

 同社代表取締役の宮沢俊哉氏は「新本社ビルでは、大学の先生方に協力いただき、一般的な資材や工法を用いた中規模木造建築物を開発する。その技術を当社が運営する工務店ネットワーク『JAHBnet』に加盟する工務店を中心に周知していくことで、日本における中規模木造建築物の普及にも貢献する」と述べた。

 着工は22年、竣工は24年の予定。

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