不動産ニュース / その他

2024/4/1

不動産・住宅各社で入社式(ディベロッパー)

 不動産・住宅各社は1日、2024年度の入社式を執り行なった。各社の対応状況や社長挨拶の要旨については、以下の通り(順不同)。

◆三井不動産(株)
◆三菱地所(株)
◆住友不動産(株)
◆野村不動産ホールディングス(株)
◆東京建物(株)
◆(株)大京
◆(株)長谷工コーポレーション
◆森ビル(株)
◆中央日本土地建物グループ(株)
◆森トラスト(株)
◆三菱地所レジデンス(株)
◆東急グループ
◆(株)西武ホールディングス

◆三井不動産(株)代表取締役社長 植田 俊氏

 入社おめでとうございます。皆さんを心から歓迎します。本日、皆さんが社会人として第一歩を踏み出されるにあたり、私からお話をさせていただきます。
 三井不動産グループは創立以来、時代の変化をチャンスと捉え、多くの挑戦を続けてきました。埋め立て事業、日本初の超高層ビル「霞が関ビル」をはじめとするオフィスビル事業、住宅事業、商業施設事業、物流施設事業、東京ドームをはじめとするスポーツ・エンターテインメント事業など、常に新たな価値創造を推進してきました。そして、ミッドタウンや日本橋に代表されるようにそれらを統合したミクストユースの街づくりを進め、より豊かな暮らしを提供、人々のクオリティ・オブ・ライフを高めてきました。
 さらに、ビジネスの舞台はグローバルに広がり、業容は大きく拡大、人材のダイバーシティも進み、企業として大きく成長したと感じています。このような中で、私たちは様々な価値創造を進めてきましたが、今や、「不動産デベロッパー」の枠を超え、ハードな建物だけでなく、街づくりを通じた「場」や「コミュニティ」、ソフトサービスの提供を通じてそこに集う人々や企業がイノベーションを起こすお手伝いをする「産業デベロッパー」というプラットフォーマーへと進化を遂げました。
 ところで、今から46億年前に地球が誕生しましたが、その長い地球の歴史の中で、約5億年前にカンブリア紀という時代がありました。カンブリア紀には、遺伝子の爆発的変容というパラダイム転換が起き、多数の生物が誕生しましたが、この時代の勝者は最強の捕食者ではなく、弱々しいナメクジウオの祖先であるピカイアという生き物でした。ピカイアは脊索動物である私たち人類の祖先と言われていますが、環境の変化に対応できたもの、つまり、「適者生存」したものだけが、生き延びたことが分かっています。

 皆さんも各種報道で日本の「失われた30年」という言葉を目にされていると思います。30年前のスタートは当然皆さんが生まれる前です。デフレの時代では、付加価値が評価されず、報われず、心が委縮してイノベーションが起きづらい時代でした。
 また、日本にとって今年は「失われた30年」に遂にピリオドを打てるか、勝負の年だと思います。コスト上昇を原因とするプッシュから始まった物価上昇を、各企業が賃金上昇や適正な商品価格の上昇という好循環に繋げることができれば、ついに日本もデフレから脱却できる、大きなパラダイム転換のチャンスに来ています。デフレから脱却できれば、付加価値は正当に評価され、イノベーションが促進される、まさに付加価値を競い合うビジネスのカンブリア紀に突入することになります。これは、今までも付加価値創出に貢献し、差別化を目指してきた当社にとっては大きなフォローウインドです。
 このような、変化が激しく、不確実性が増す時代に、最も大切なことは「顧客志向」だと、私は考えています。前例踏襲やマニュアルに従うだけでは環境変化や多様化する顧客ニーズには対応できず、突き抜けた発想で付加価値を創出しなければ、激しい競争に打ち勝つことはできません。
 だからこそ、「妄想、構想、実現」、これが今、最も求められていることだと思います。突拍子もない「妄想」でも、そこに大義があれば仲間が集まって「構想」になり、「実現」につながっていく。本気でイノベーションを起こし、圧倒的な「付加価値」を創出し、産業競争力を高めることが求められています。皆さんの若くてフレッシュな「妄想」が、新しいビジネスの芽を育てて「構想」となり、「実現」されていくことを期待しています。
 もし、失敗したとしても、ベストを尽くした結果が失敗であるならば、それは皆さんの将来にとって必ず大きな財産となるでしょう。

 なお、本日付で、当社グループは、新たな経営理念を策定し、この中で私たちに受け継がれているDNAを改めて見つめ直し、グループDNAを策定しました。「共生・共存・共創」により新たな価値を作り出すための挑戦を続ける、これが私たちのグループDNAです。また、今回私たちの企業ロゴである&マークも新たにしました。この&マークは「あれかこれか」の二者択一でなく、「あれもこれも」を取り込む柔軟な姿勢を表しています。更に、今月11日には当社グループの新たな長期経営方針を公表予定です。
 目下、業績は大変好調に推移していますが、今の立ち位置に安住していては、生き残ることはできません。
 我々を取り巻く環境がダイナミックに変化するなか、我々はイノベーションを通じて新たな価値創造に貢献し、社会・経済におけるリーダーシップを高めながら持続的に成長していくことを目指します。この挑戦に果敢に立ち向かい、次なる一歩を共に踏み出しましょう。

 最後に、あらためて三井不動産グループの事業は、社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業だ、と私は心から信じています。そして三井不動産は、仕事を通じた自己実現によって、日本全体、ひいては世界全体のイノベーションに大きな影響を与えることのできる会社だと信じています。高い志を持って自己実現を目指す者にとっては、最高のステージとなるでしょう。
 三井不動産グループが、さらに魅力あふれる企業グループであり続け、また今後もたくましく成長していけるよう、共に頑張りましょう。

◆三菱地所(株)執行役社長 中島 篤氏

 三菱地所グループは、「まちづくりを通じて社会に貢献する」を基本使命としている。その原点は三菱三綱領(所期奉公・処事公明・立業貿易)という経営理念であり、現代風に解釈すれば、「Public・Fair・Global」である。まず、この理念を胸に刻んでほしい。

 皆さんには三菱地所グループの一員としてまた社会人として、「人」を大切にする重要性を伝えたい。当社グループのコーポレートスローガン「人を、想う力。街を、想う力。」が示すように、街には必ずそこで活動する「人」、が存在する。それらの人々に想いに寄り添いながら、求められるまちづくりをしてもらいたい。また、デベロッパーの仕事は社内外のチームでの協力が必要不可欠。ゆえに関わる「人」とのつながりや関係性、コミュニケーションをより大事にしてほしい。

 今後の社会人生活の中では、思い通りにならないことも多々あるだろう。それらの経験や、乗り越えるプロセスはやがて自分の成長の糧になる。是非様々なチャレンジを続けてほしい。そして、フレッシュな感覚を大切に、臆せず活かして頂きたい。三菱地所グループをさらに成長させ、世界一のデベロッパーにするべく、一緒に「次」にいこう。

◆住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏

 住友不動産グループを代表して、皆さんの入社を心より歓迎します。

 新年度は、中計最高益更新を目指す「第九次中期経営計画」の最終年度であり、その先に見据える経常利益3千億円突破に向けて重要な1年となります。

 当社は、将来の成長力を高めるため、東京に次ぐ一大拠点を構築すべく、インド・ムンバイの事業を本格化させています。

 一方で、物価や賃金の上昇、金融環境の変化など、日本経済は大きく転換しつつあります。持続的成長の実現のため、基盤となる国内事業のさらなる成長は欠かせず、グループの連携強化やこれまでの事業のやり方を見直すことも重要な課題です。

 皆さんには、当社グループの一員として前例踏襲ではなく、柔軟かつ独自の発想で仕事に取組み、住友不動産グループの未来を創造すべく大いに活躍していただきたい。

 これから共に頑張ってまいりましょう。

◆野村不動産ホールディングス(株) 代表取締役社長 グループ CEO 新井 聡氏

 野村不動産グループに入社された348名の皆さん、誠におめでとうございます。
 皆さんが人生における新しいステージに入られたことに対してお祝い申し上げます。そして、皆さんのここまでの成長を支えて下さったご家族をはじめとする方々に対して、皆さんと一緒に深く感謝したいと思います。

 皆さんが入社された今年、2024年は、後から振り返ってみると、日本にとって大きな節目の年であったと言われるだろうと私は考えています。
 2月には日経平均が35年ぶりに高値を更新し、その後も堅調な動きとなっています。また、2週間ほど前に日銀が8年間続けたマイナス金利政策を解除しましたが、その背景には33年ぶりの高水準となった賃上げ率があります。まさに、これまでの30年間で染みついたデフレ心理が払拭されつつあり、日本全体が良い方向へ変化する兆しが見え始めています。
 一方で、グローバルな視点では、今年は「選挙イヤー」とも言われていますが、特に秋のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝つと世界の政治経済に大きな変化が起こるかもしれません。また、ウクライナや中東での紛争は継続しており、地政学リスクも高い状況が続いています。
 このような環境下において企業とそこで働く人が大切にしないといけないものは何か?
 それは、どのような環境下においても、多くの人に必要とされる価値を創り出すことであり、常に自らが提供する価値を高め続けることです。

 本日ご入社された皆さんにお願いしたいことがあります。
 今日から自分自身を磨くこと、つまり自らの能力を高めることに今まで以上に力を入れていただきたいということです。このことを肝に銘じて取り組んでいただければ、それぞれの職場において、皆さんは自ら新しい価値を創り出し、提供する価値を高めることが出来る人材に成長することが出来ます。
 もちろん、皆さんがそのような人材に育つことができるようにグループ全体でしっかりとサポートしていきます。

 最後になりますが、皆さんがご存じのように、野村不動産グループは2030年ビジョンとして“まだ見ぬ、Life&Time Developerへ”進化することを目指しています。今日から皆さんは、お客様に豊かなLife&Timeを提供するために、全員で新しい価値を創り出し、その価値を高め続けるグループの仲間に加わりました。
 これから全員で明るい未来を作っていきましょう。何卒よろしくお願いします。

◆東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 野村 均氏

 皆さん、本日は入社おめでとうございます。新しい仲間を迎えることができ、大変嬉しく思います。

(一部省略)

 当社は、1896(明治29)年10月に旧安田財閥の創始者・安田善次郎翁により設立され、近代日本資本主義の父である渋沢栄一も創業に深くかかわりました。昨年創立127年を迎えましたが、これまで一世紀を超えて企業活動を続けられたのは、安田善次郎翁が旨とした「お客様第一」の精神と、時代の流れを先んじて捉える進取の精神を社員一人ひとりが原点として大切にしてきたからだと考えます。
 また当社は、これまで創始者らの「道徳と経済は両立させることができる」という志を色濃く受け継ぎ、常に時代の要請に応え、人々の安全・安心な暮らしや豊かな社会の実現に貢献することを旨としながら事業の歴史を積み重ねてきました。この長年の積み重ねこそが、結果的に様々な成果や信頼の獲得へとつながり、当社が現在のデベロッパーとしての地位を確立できた所以と考えます。
 当社の企業理念は「信頼を未来へ」です。お客様や地域の方々から信頼を得るためにはどのようにすればよいか、社員一人ひとりが考え抜き、行動し続けることによって、初めてその意味するところが相手に伝わり、理解されるものです。また、この企業理念は社外に対してのものだけではありません。社内や東京建物グループ内においても、お互いに仲間として信頼し合い、「この人とまた一緒に仕事がしたい」「この仲間と最後までやり遂げたい」と互いに思い合うことにより、初めて本当の意味でのシナジーが生まれてくるものと考えています。是非とも、「信頼」される人、「未来」を切り拓く人となるよう期待しています。
 現在当社では、様々な事業を推進していますが、当社がデベロッパーとして事業を継続していくうえで欠かすことのできないものが社員の「人間力」です。自分に係わる方々から信頼を得るためにはどのようにすればよいかを常に意識することにより、内発的に生まれる行動に価値があります。こうした意識は日常の「挨拶ができる」「約束を守る」「相手の目を見て話す」といった当たり前のこととして行動に表れるものです。これから社会人としての生活をスタートする皆さんにも「凡事徹底」の心を決して忘れないようにしてください。このことこそが、「人間力」につながり、ひいては企業の力につながると強く信じています。私は、当社の競争優位性は、社員一人ひとりの「人間力」や、それを形作る「人間性」にあると考えています。一人ひとりが自分の持ち場、現場で行う日々の言動の積み重ねが、お客様や地域の方々に認められて当社のブランドになっていくということを深く理解してください。
 さて、本年当社は、政府からの「賃金と物価の好循環」実現への要請を踏まえ、賃上げを通して日本経済の成長の一助とすべく、消費増が投資を呼び、賃金の上昇を伴って物価が上がるいわゆる「良いインフレ」の定着に向けて、一歩先んじて高水準の賃上げを実施することとし、全社員の年収を平均10%超引き上げる水準としました。更なる会社の発展に向け、社員一人ひとりの一段の活躍を期待し、社員と会社の未来に投資するという考え方に基づき、賃上げについて会社側が労働組合の要求を超えて回答したものです。新たに当社の一員となる皆さんにも是非、この期待に応えるよう励んでいただきたいと思います。
 最後に、何事においても身体はすべての資本であり、健康なくして何事も成し得ることはできません。当社は、優れた健康経営を実践している企業として、健康経営優良法人の認定を8年連続で取得し、上位500社のみに与えられる「ホワイト500」の称号も4年連続7回目の取得ができました。今後も一人ひとりの健康維持・増進に繋がる施策を積極的に推進しますが、健康管理は自らで責任を持ち、くれぐれも留意し社会人生活を過ごしてください。
 皆さんと一体となって信頼を未来へつなげる企業であり続けるその挑戦の歩みこそが、すべてのステークホルダーの皆様への価値提供であると私は信じています。皆さんの挑戦と成長が当社発展の原動力となることを期待しています。

 以上、私からの祝辞といたします。

◆(株)大京 代表取締役社長 深谷敏成氏

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。総勢144名の方を新入社員として迎えられることを、大変うれしく思います。また、本日は、社会人として新たな第一歩を踏み出す記念すべき日になります。このような人生の節目においては、ご家族をはじめ、これまでお世話になった方々への想いを寄せて、感謝の気持ちを持って過ごしていただければと思います。

 大京ユニットは、マンションを中心とした住宅業界において、常に新しいことに挑戦してきた活力と推進力のある企業です。今後も、皆さんをはじめとする若手社員の意見・提案を大切に、挑戦への精神を忘れずに事業を推進していきたいと思います。時代や世の中の流れに敏感になり、新しいことや変化することに躊躇せず、前向きに取り組んでいきましょう。

 私から、社会人の先輩として、三つアドバイスします。
(1)  与えられた仕事の中で、小さな目標を持つこと、それを達成する楽しみをみつけること。
(2)先をみること。テーマは何でもいいので、自分なりの仮説をたてて、予測してみること。
(3)自己啓発。業務以外で毎年何か一つ勉強して、自身の幅を広げること。

 最後に、皆さんの社会人生活が充実して実り多いものになること、皆さんとご家族のご健勝を祈念して、お祝いの挨拶とさせていただきます。皆さんと一緒に仕事をするのを楽しみにしています。

◆(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 池上一夫氏

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。

 皆さんは、新型コロナウイルスの影響でさまざまな苦難を乗り越えてきたと思いますが、その経験は自らの成長につながります。つらい時や苦しい時は成長のきっかけと前向きにとらえて頑張ってください。また、何事にも「好奇心」をもって一生懸命取り組むことで、多彩な知識と得るともにたくさんの経験を積むことができ、そこからいろいろな発想が生まれてきます。仕事にも「好奇心」を持って取り組んでいただきたいと思います。

 配属先の仕事をしっかり身に着け、目の前の仕事が好きになるところまで頑張っていただきたいのですが、苦難を乗り越える時に頼りになるのが同期入社の仲間です。私も仲間と励まし合い、仕事への思いを語り合い、時には一緒に遊んで今に至っています。皆さんも同期の絆を深める機会を積極的にもってください。また、仕事を進めていく上では、ルールやマニュアルを覚えて守っていくことが必要ですが、常に「本質」を理解して欲しいと思います。ITツールの進化で便利になると「本質」が忘れ去られていく危険性があります。理由や背景を理解し、ルールやマニュアルにない事象が発生した時に臨機応変に対応できるよう取り組んでください。さらに、生成AIやメタバースも実用化され始めているので、ぜひ興味を持って勉強してください。

 中期経営計画「HASEKO Next Stage Plan」(略称:NS計画)の中で“DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進”を掲げましたが、最前線で仕事をする現場からアイデアをあげてもらうことが不可欠です。ITツールに慣れ親しんだ皆さんは、新入社員だからと臆することなく、意識を高く持って積極的に提案をして欲しいと思います。

 皆さんが一日も早く成長し、長谷工グループの一翼を担う人材として活躍されることを期待しています。

◆森ビル(株) 社長 辻󠄀 慎吾氏

【新たに誕生した「麻布台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ」を軌道に乗せつつ、
異なるコンセプトと特徴を備えた複数のヒルズをつなぎ、
エリア全体で国際新都心を目指す】

 我々が今、全力で取り組んでいるのは、「麻布台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ」のポテンシャルを最大限に引き出し、街を軌道に乗せることだ。麻布台ヒルズはGreen&Wellnessを軸に「人と人をつなぎ、緑に包まれた広場のような街」として、虎ノ門ヒルズは「国際新都心・グローバルビジネスセンター」として、それぞれのコンセプトを具現化できるような新しい仕組みや仕掛けを、パートナーや街の人々と連携してつくり上げていく。街の様々な施設や機能がしっかりと繋がり、街全体が1つの生命体のように動き出すようにしなければならない。

 我々が長年、大規模再開発による多機能複合型の都市づくりを進めてきた、港区の虎ノ門から六本木にかけてのエリアは、大使館や領事館が集積し、外資系企業や外国人居住者が非常に多く、文化施設や病院、学校、ミシュラン星付きレストランも多数立地している。多様性があり、文化的にも豊かなこのエリアに「麻布台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ」が誕生し、「アークヒルズ」や「六本木ヒルズ」などコンセプトの異なる複数のヒルズが連なったことで、我々の戦略エリアの可能性と国際新都心に至るシナリオが誰の目にもはっきりと見えてきた。

 都市づくりの思想を共有しつつ、異なるコンセプトと特徴を備えた複数のヒルズを、ビジネスや文化、緑のネットワークでつなぎ、DXでつなぎ、エネルギーや物流などのインフラでもつないでいけば、間違いなく世界に類のない、強い磁力を持ったエリアになるはずだ。さらに、このエリアでは「六本木5丁目プロジェクト」や「虎ノ門3丁目プロジェクト」も推進している。これらが加われば、我々の戦略エリアはさらに凄いことになる。

 皆さんは本当に重要な時期に森ビルに入社する。若い世代にもたくさんの仕事が回ってくるし、都市づくりが好きな人にとってはこれ以上ないチャンスだ。チャンスを掴むためには、まず、目の前の仕事に夢中に取り組むことだ。どんなに小さな仕事でも考えて考えて考え抜き、最後までやり遂げたときに大きく成長することができる。そして、自分で仕事を創り出せるようになれば、仕事はもっと面白くなり、能力はさらに伸び、より大きなチャンスを掴めるようになるだろう。共に挑戦し、共に成長し、共に未来を拓いていこう。

◆中央日本土地建物グループ(株) 代表取締役社長 三宅 潔氏

 今年度より3か年の新中期経営計画が始動しました。本日から新たに当社グループの仲間となる皆さんに、心構えとしてお願いしたいことを3つお話しします。

 1つ目は、「常に未来志向で自立性を高く持つこと」です。不確実性の高い時代ですが、環境が変化する時は新しいニーズが生まれます。足元の変化に一喜一憂せず、未来を見据えて、自分なりの考えや判断を持つことが必要です。

 2つ目は「スピード感をもって、自ら動き、挑戦すること」です。新たな挑戦や成長しつづけるためには、自ら積極果敢にチャレンジし、周囲と協同して新境地を切り開いていくことが必要です。柔軟かつ自由な発想でイノベーションを起こしていくことを期待しています。

 3つ目は「誠実と信頼」です。社会活動や人々の生活を支える不動産業において、誠実と信頼なくして「安心」は得られません。「現場」「現物」「現実」に真摯に向き合い、「あなただから」と頼りにされる人間性を磨いてください。

 社会人となった今日の感激と新鮮な気持ちを胸に、皆さんが大きな志を持って、「中央日土地」らしさを発揮し、当社グループとともに成長していくことを期待しています。

◆森トラスト(株) 代表取締役社長 伊達 美和子氏

 みなさん、ご入社おめでとうございます。
 今年は皆さんの門出を待っていたのか、ようやく桜が見ごろになってきました。春らしい穏やかな気候のなかで、本日希望に満ち溢れたみなさんをお迎えでき、大変喜ばしく思います。
 先日、日銀による17年ぶりの利上げが発表されました。みなさんが生まれる前に起こったバブル崩壊以降、日本の経済成長のスピードは世界の主要国から遅れ、失われた30年とも言われる時代を歩んできました。長期にわたる金融緩和の時代が一服し、企業による賃上げの動きが出ていることは、日本経済の歴史的な転換期であり、いよいよ令和モデルにむけた、新たな扉が開かれようとしています。
 一方で、日本経済が再び成長曲線を描けるかが問われており、この数年が勝負です。つまり、いかにして各企業が戦略を持って、高い生産性・独自の創造性を発揮できるかが求められていると言えるでしょう。
 そのような中、森トラストグループは昨年、中長期ビジョンを改定し、「Advance2030」として2030年度までに賃貸・ホテル・分譲事業で、それぞれ1,000億円以上の売上を目指す計画を発表しました。株式市場の急変動や長期金利の上昇、為替の円高転換などの動きにも注意を払いながら、前向きに事業の決断をしていく必要があります。
 観光産業を取り巻く環境はどうでしょうか。昨年は5月に新型コロナウイルス感染症の扱いが5類となり、様々な制限が解除され、観光産業は、V字回復を遂げました。そして、今年は2020年以降で初めて、1年を通して正常化が見込まれます。世界では2030年までに中間所得層が増加することから、国をまたいで移動する旅行者がさらに増え続けると言われています。そして、日本は都市機能の充実、魅力ある観光資源が世界から評価されています。観光産業のポテンシャルの高さが期待されています。
 また、各国同士の競争も過熱していくことが予想されます。期待するだけではなく、先を見据えた戦略こそが必要であり、日本の魅力の発信と、持続的な投資による観光資源やそれを支えるインフラの維持・拡大が求められていると考えます。
 私たちは今年、軽井沢では「万平ホテル」、長崎では「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」が開業、また東京ワールドゲート赤坂が竣工する予定で、グループ一丸となって日々準備を進めているところです。そして、その先の計画も進行しています。みなさんにもそう遠くない将来、それぞれの得意分野を生かして、このようなプロジェクトの一翼を担っていただけるものと期待しています。
 私たちは昨年、24年ぶりに本社をこの東京ワールドゲートに移転しました。「働く場」を提供する私たちは、コロナ禍を経て、オフィスの新たな役割を考え、訪れたくなるオフィス「DESTINATION OFFICE(デスティネーションオフィス)」を体現する空間を作り上げました。時代とともに求められる機能や役割に応じて、進化し続けることを考え、可変性のある空間構成となっています。
 みなさんには、このオフィスを最大限活用していただき、目標達成をともに目指す仲間として、先輩方からたくさんのことを学んでください。第一に、多角的な視点で視野を広げ、常に改善策を講じる。第二に、見えない先を見据える力を養い挑戦し続け、未来づくりに貢献する。そうした気概、精神をもって、業務に積極的に関わっていただきたいと思っています。
 不透明・不確実な時代は続きますが、「Advance2030」に向けて、しっかりと前を見据え、ともに前進し、発展を目指してきましょう。
 本日は本当におめでとうございます。

◆三菱地所レジデンス(株) 代表取締役 社長執行役員 宮島正治氏

 当社では昨年度から新しい中期経営計画がスタートしており、今年度はその2年目にあたる。中期経営計画では、あらゆるステークホルダーに「選ばれ続ける」企業であることを目指し、用地取得の促進、モノづくり力の強化、引渡後のお客様満足度の向上、国内外のお客様とのリレーション強化と新しい顧客体験の提供、収益用不動産の利益と資産効率の最大化、リノベーションや海外事業の更なる拡大等を掲げている。新たな体制の中で、一人ひとりが自分の仕事に一工夫を加え、考え抜き、より質の高いアウトプットを生み出していってほしい。
 社会や当社の事業環境は絶えず変化しているが、その中で求められているのは資産価値の高いマンションだと感じている。手放したくない、そうお客様に思っていただける住まいを作っていこう。

 皆さんには各自の配属先にて、「まちづくりを通じて社会に貢献する」という三菱地所グループの基本使命を念頭に置き、お客様に質の高い住まいを提供していくべく頑張ってもらいたい。また、幅広い部門に配属される同期とのネットワークを活かして「横連携」「おせっかい」をしながら、是非とも尊重し合い、刺激し合って、お互いを高めていってほしい。

 今年度入社する皆さんの中には、大学入学と新型コロナウイルスの流行開始が重なった者も多いと聞いている。不確実で先の見えない状況の中、学生生活を切り拓いてきた皆さんだからこそ、当社が今後もお客様に新たなよろこびを提供していくために何をすべきか、自ら考え行動していくことを期待したい。
 現在当社では「Try for happiness」というスローガンをもとに、積極的な「Try」によるイノベーションを起こしていこうとしている。皆さんには日頃から好奇心を大事にしてほしい。様々なことにトライし、新しいものを探求する力を身に着けて、好奇心を持って仕事に取り組んでもらいたい。

◆東急グループ 代表 野本弘文氏

【自分が携わっている仕事で、常に第一人者となるよう努力しよう】

 東急グループは、創業から100年以上、交通事業をはじめ、建設、不動産、生活サービス、そしてホテル・リゾート事業など、お客さまの生活に密着した幅広い分野で事業を展開しています。また、海外事業においても年々広がりを見せています。

 創業者の五島慶太翁は、「自分が現在携わっている仕事については、常に第一人者となるよう努力することが大切」という言葉を残されています。これから、皆さんはそれぞれの会社で研修や実習を得て、いろいろな業務に就くと思いますが、初めから面白いと思える仕事には中々巡り合わないものです。しかし、どのような仕事であっても、これらを面白くするも、しないも、皆さんの考え方一つです。つまらないと思う仕事も工夫次第では面白くも、また、価値ある仕事にもなります。五島慶太翁の言葉をしっかり胸に刻んで、仕事に取り組んでいただきたい。

 渋谷では100年に1度と言われる開発が進行中です。「渋谷ヒカリエ」を皮切りに、「渋谷ストリーム」、「渋谷スクランブルスクエア東棟」、そして昨年11月には「渋谷サクラステージ」が竣工、これからも、この会場隣の「Shibuya Upper West Project」をはじめ、いくつものプロジェクトが計画進行中です。2030年頃には、渋谷駅周辺もおおむね完成し、世界に誇る渋谷の新しいランドマークも生まれ、今以上に世界から注目される街になると確信しています。

 どのような事業であっても、一人の力だけで進めることは難しく、同じ思いを持って行動する仲間がいて、初めて実現できます。思いを伝えるためには、自分の考えをしっかりと持つことが大事です。そのためにも常日頃から勉強はもちろん、多くの経験をすること、そして先輩や上司、仲間達とコミュニケーションを積極的にとり、多くの理解者や応援団を作ってください。

 「夢」や「希望」は誰でも持つことは出来るが、強い「志」を持って、自ら考え行動していかなければ決して「夢の実現」はないということを、しっかりと胸に刻んでほしいです。そして、皆さんのいくつかの「夢の実現」が世の中にとって必要とされるものであり、東急グループの発展にも貢献するものであってほしいと願っています。

◆(株)西武ホールディングス 代表取締役会長 会長執行役員兼CEO 後藤高志氏

  新型コロナウイルスにより大きな影響を受けた経済活動も着実に回復しており、『でかける人を、ほほえむ人へ。』をグループビジョンのスローガンに掲げる西武グループの経営においても、おでかけされる方が増えるに伴い、着実に回復をしています。その中で、西武グループはさらに企業価値を上げるため、「レジリエンスとサステナビリティ」をテーマに、社員一丸となって、今後のさらなる飛躍を目指し、さまざまな取り組みを進めています。鉄道事業ならびに沿線価値創造機能に特化する西武鉄道、業界No.1クオリティのホテルチェーンを目指す西武・プリンスホテルズワールドワイド、グループの保有資産の価値極大化を担う西武リアルティソリューションズなどをはじめとし、西武グループは、国内外で幅広く事業を展開している日本屈指の企業グループであり、皆さんの活躍のフィールドは多岐に渡ります。
 西武グループでは、グループビジョンの実践を後押しできるよう、「はたらく人を、ほほえむ人へ。」というコンセプトのもと、誰もが働きやすい職場環境を引き続き整えていきます。新入社員の皆さんには、その実力を存分に発揮していただきたいです。

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月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

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