高稼働率を誇る外国人向け「サクラホテル」
8月5～7日に東京ビッグサイト（東京都江東区）で開催された「賃貸住宅フェア2008」（主催：全国賃貸住宅新聞社）では、新企画として「物件見学バスツアー」を実施。地方から上京した不動産会社・オーナーに向け、「最新高層マンションツアー」、「高付加価値物件ツアー」、「ハイクオリティ学生マンションツアー」等が用意された。 今回記者は「外国人向けゲストハウス・ホテルツアー」に同行、（株）サクラハウス（東京都新宿区、代表：九十九華子氏）が運営する外国人向けホテル「サクラホテル神保町」、「サクラハウス神楽坂」、「サクラハウス神楽坂矢来町」を見学した。うち、詳細に見学できた「サクラホテル神保町」についてレポートする。
さまざまなタイプの部屋を用意
全室でネット利用が可能
今回見学した「サクラホテル神保町」（東京都千代田区、総室数43室）は、東京メトロ「神保町」駅徒歩2分、JR「水道橋」駅徒歩8分とアクセスに恵まれた立地。古書街として有名な神保町で14年前にオープンし、当時からから日本人だけでなく多くの外国人を受け入れてきた。
同ホテルの特長はその多彩なメニュー内容。出張や旅行客を対象としたシングルルームは、サイズの異なるスタンダードタイプ（7,140円／1人）とスモールタイプ（6,090円／1人）の2種類で展開。また、カップルを対象としたダブルルーム（8,200円／1室）、友人との旅行を意識し2段ベッドを設置したツインルーム（8,400円／1室）がある。
また通常の個室に加えて、ドミトリータイプの部屋も用意されている。ドミトリーとは、ほかの宿泊客と相部屋で利用する宿泊施設のこと。料金が安価なため、外国人バックパッカーからの需要が高い。なお、部屋の設備はベッドやロッカーなど、最低限のものにとどまる場合が多い。
同ホテルでは、ドミトリー（3,780円／1人）と、ベッドメイキングなどのサービスを省いた格安ドミトリー（3,150円／1人）を用意。いずれも低価格を実現している。そのためリピーターが多く、1ヵ月ほどの長期滞在もあるという。
宿泊料金が低価格の場合、設備面などが不十分なことが多いが、同ホテルでは、すべての部屋にベッドやデスク、ソファといった基本的な家具を設置したほか、テレビ、電話、冷暖房など、日常的に必要な家電も一通り揃えている。また、インターネット回線（PCおよびLANカードは各自で用意）も整備している。
一方、水回りはどの部屋タイプも共同となっており、各階に洗面台とトイレ、ユニットのシャワー室を設置。同ホテルに浴室はないが、利用者のほとんどがお湯につかる習慣のない外国人、不便はなさそうだ。
また、間取りを見てもらうと分かるが、これら水回り設備を建物の中心に集約することで、限られたスペースを最大限に利用している。
1階ではカフェバー「サクラカフェ」が24時間営業中。宿泊者以外の利用も可能となっているため、取材当日はテラスでお茶をする日本人の姿もみられた。
ここではドリンク160円～、朝食315円（シングルルーム利用者は無料）といったメニューを用意。宿泊料金同様、低価格でサービスを提供している。
ゲストハウスのノウハウを活用し8割強の稼働率
同ホテルは、バックパッカーを中心に口コミで広がり、現在では利用者の90％が外国人だという。
「常時8割強の稼働率です」（同ホテルマネージャー・石田 肇氏）とのことだが、旅行会社と提携をしているわけではなく、HPを通じてのメールや電話での予約がほとんどだという。
そもそも（株）サクラハウスは、外国人専用ゲストハウスの企画・運営や賃貸物件の提供で実績を積んできた会社。どういったニーズがあるかについては熟知しているところであろう。
例えば、短期滞在する外国人の場合、設備よりもアクセスの良さやインターネット環境の充実を重視するという。こうした要望をホテルの運営に生かしているのだ。
現在同社では、同ホテルのほかに都内の3ヵ所で外国人を対象としたホテルを運営しており、バックパッカー向けホステル「サクラホステル浅草」（東京都台東区）、ビジネスホテルを改装した「サクラホテル池袋」（東京都豊島区）、「サクラホテル幡ヶ谷」（東京都渋谷区）のいずれも高い稼働率だという。
同社の展開する外国人向けビジネスの今後に注目したい。（中）
