国土交通省が18日に発表した「平成26年 地価公示」結果について、業界団体・企業のトップから以下のようなコメントが発表された(以下抜粋、順不同)。
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏
(一社)不動産流通経営協会 理事長 竹井英久氏
三井不動産(株) 代表取締役社長 菰田正信氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏
東急不動産(株) 取締役社長 金指 潔氏
野村不動産ホールディングス(株) 取締役社長 取締役社長 中井 加明三氏
東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏
平成25年1年間の地価は、依然として全国的に下落を示しているが、住宅地・商業地ともに対前年と比較した下落率は縮小傾向となっている。住宅地においては、低金利や住宅ローン減税等の施策による他、景況感の改善により住宅需要が拡大している。また、商業地においても、低金利、景況感の改善を背景に下落率が縮小あるいは上昇に転じており、特に三大都市圏平均では、住宅地、商業地ともに上昇している結果となった。
これは、政府のデフレ脱却政策である、金融政策、財政政策、成長戦略のいわゆる「三本の矢」が功を奏しつつある証であり、今後とも、住宅政策については、4月からの消費税増税に伴い、景気の腰折れ、消費者マインドが冷え込まない対応を切に望むものである。
特に、平成26年税制改正については、不動産取得に係る各種流通税の特例措置が期限切れとなるので、本会としても強力な要望活動を行う所存である。
平成26年の地価公示は、全国平均では住宅地・商業地とも下落したが下落率は縮小傾向が続いている。また、地方圏においては下落したものの、三大都市圏平均では上昇に転換するなど、アベノミクス効果による景況感の改善等を背景に、引き続き回復の兆しが見られる。
こうした回復の動きをより確実なものとし、資産デフレからの脱却と持続的な経済成長につなげるために、大都市の国際競争力の向上や良好な住宅ストックの形成など、内需主導による成長戦略の強力な実行を期待したい。
我が国経済にとって、本年は正念場とも言える重要な年であり、東京オリンピック・パラリンピックという夢のあるビッグプロジェクトも控える中、防災・環境に優れたまちづくりなど、不動産業界に期待される役割はますます大きい。当協会としても、そういった期待に応え、成長戦略の実行に向け、魅力的なまちづくりや良質な住宅の供給をはじめとした様々な取り組みを一層加速させることにより、貢献して参りたい。
今回の地価公示では、景気回復に向けての堅調な足取りのもと、地価の回復基調がより鮮明になった。全国平均では、住宅地、商業地ともに依然として下落しているものの下落率は引き続き縮小し、特に三大都市圏平均では住宅地、商業地ともに上昇に転換した。上昇地点数の割合も三大都市圏を中心に、住宅地・商業地ともに全国的に大幅に増加した。
足元の不動産流通市場では、景気回復期待に加え、金利や価格の先高感を背景として、また住宅ローン減税拡充等の政策効果の下支えもあり、中古流通市場・新築マンション市場共に、堅調に推移している。商業系不動産についても、脱デフレ期待を背景とした不動産投資意欲の高まりから、Jリートや投資ファンド等による積極的な物件取得が行われている。
今回の地価動向は、これらの不動産市場の動きが反映されたものである。地価の回復は、設備投資や住宅投資の促進につながり、デフレ脱却・経済成長の政策を強く後押しするものと考えている。当協会としても、不動産流通市場の活性化を通じて、政府の成長戦略実現に向けて貢献してまいる所存であり、今後も不動産税制・金融面等での一層の政策支援を政府にお願いしたい。
平成26年の地価公示では、上昇地点の増加が大都市から地方にも及んできており、全国的な地価の上昇局面に移ってきたとみている。
住宅市況は引き続き好調で、景気改善や金利・価格の先高観から、顧客のマインドは高まっており、都心部で顕著となっていた価格の上昇傾向が、近郊エリアにも広がってきている。景気改善が継続して所得増加の動きも生じており、今後もこの傾向が続くとみている。
オフィスビルについては、東京都心において空室率の低下が進み、募集賃料は新築・既存とも上向いてきている。加えて、テナントのBCP対応に対する意識は引き続き高く、防災・省エネ対策に優れたビルへのオフィス移転ニーズは高まっている。今後も、企業業績の向上や人員増加によりオフィス需要のさらなる拡大が期待される。
不動産投資市場においては、J-REITをはじめとした国内投資家や海外投資家によるファンド組成や、不動産取得の動きもあって取引がより活発化している。J-REITは投資口価格が回復し、2013年の物件取得額は過去最高の2006年実績を上回って約2.2兆円となった。今後も実態経済の回復と東京オリンピック招致による注目度の高まりなどから、さらに市況は活性化するものとみている。
当社グループにおいては、成長戦略の実行主体は我々民間企業であることを強く意識し、「街づくり」を通して日本の国際競争力の強化に一層貢献していきたい。
今回の地価調査では、三大都市圏平均で住宅地、商業地ともに6年ぶりに上昇に転じたのをはじめ、都市部を中心に横ばい乃至上昇地点が大幅に増加した。全国的にも下落率は縮小を続けており、地価の回復感が広がってきた。
東京のオフィスビル市場では、雇用環境や企業業績の回復を背景に空室率の改善傾向が継続、優良ビルを中心に成約賃料は緩やかに上昇している。金利や価格の先高感から分譲マンションの需要も底堅く、都心では、用地価格に加え、販売価格も上昇に転じている。このように、足元でも地価は上昇基調を強めており、今後の地価調査では、この回復感がより鮮明となるだろう。
一方、建設コストは依然として先高感が強く、大きな懸念材料だ。政府
には、消費税増税後の景気対策と併せ、持続的な経済成長実現のため、実効性の高い施策を期待したい。
昨年来の円高の是正や株価の上昇に伴い、経済再生が進展し、実体経済に明るさが見えつつある一方、消費増税や異次元の金融緩和の出口など、見通しが読みにくい局面も控えているが、足元の市況は堅調で、大きなマイナス要因は見当たらないと認識している。
なお、地価公示の結果については、以下のとおりと理解しており、ご参考として頂きたい。
住宅市況については、建設費の高騰に伴う住宅価格の先高感や金利の先高感などを背景に、実需を中心とした堅調な需要に支えられ、下落率は縮小傾向にある。お客様の消費活動にも回復が見られ、昨年から継続してモデルルームの来場者数が増えるなど、東京圏を中心に回復の程度が加速している。今年3月竣工した千代田区の「ブランズ四番町」などの都心部の高額物件も早期段階で完売するなど好調な推移を示しており、都心の住環境が良好、あるいは交通利便性の高いエリアは、マンション用地の希少性が高まってきたことも相俟って、一部で横ばいまたは上昇の傾向が見受けられる。
商業地についても、同様に下落率が縮小の傾向にある。賃貸オフィスにおいては、新規大型物件の開業が一巡したこともあり、また災害時の対応性の高いビルへの移転や業務機能の集約、増床・拡張等の動きにより、空室率は概ね底を打ち、都心部の新築ビルにおいては、賃料反転の事例も出てきている。
また商業施設についても、銀座や渋谷など都心部での競争力が強く商業集積の高い地域において、店舗賃料に底入れ感が見られ、一昨年4月に神宮前交差点に開業した当社商業施設「東急プラザ 表参道原宿」などの新規出店による集客力向上などを背景に、地価の上昇が顕著となっている。今後は、2015年に開業を控える銀座数寄屋橋交差点にある(仮称)銀座5丁目プロジェクトや(仮称)神宮前6丁目プロジェクトなども控えており、同様の傾向は継続するものと考えられる。
不動産投資信託市場においては、相次ぐ新規上場とともに、金融緩和策への期待等からREIT指数も上昇傾向で推移するなど好材料に恵まれ、年明け以降も同様の傾向は継続している。今後も不動産投資信託による積極的な取得は継続するものと考えられ、地価の回復基調から同市場に与える影響も大きいものと認識している。
◆野村不動産ホールディングス(株) 取締役社長 中井 加明三氏
分譲住宅市場においては住宅価格の先高観、住宅ローン金利が低水準であることを背景として、契約率は都心部を中心に引き続き順調に推移している。昨年の10月以降販売の消費税率8%適用物件においても、住宅ローン減税等の税制優遇措置が需要の下支えとなっており、好調な販売状況が継続している。
但し、マンション用地の取得競争の過熱化による土地価格の高騰や、建築費の上昇などが顕在化してきており、今後も良質な住宅を適切な価格で安定供給できるかが課題である。
中古住宅市場においても、首都圏、都心部を中心に需要が供給を上回る状態で、取引価格が上昇している傾向にあり、マーケット環境の回復が窺える。
今回の地価公示に見られる、都心部の地価上昇のトレンドは、最近の不動産市場の動きを反映したものと言える。今後も地価公示は不動産マーケットの中長期的トレンドの重要な指標として注視していく。
今回発表された地価公示では、三大都市圏において、住宅地、商業地ともに上昇に転換しており、利便性や住環境に優れた住宅地では上昇基調が顕著であった。また、耐震性に優れる新築・大規模オフィスなどが集積する商業地が上昇基調を強めており、商業店舗についても消費動向の回復がみられた。
これは、昨年来の政府の経済政策や日本銀行の金融緩和などによる、円高・株高基調による企業の収益改善や設備投資の持ち直しのあらわれと推察される。
不動産市場では、住宅分譲においては、低金利や景況感の改善を背景として、契約率は順調に推移し堅調な事業環境が続いた。
オフィス賃貸においては、新築ビルの大量供給に伴う影響が一段落したことに加え企業の景況感が改善したことにより、空室率の低下が進み、一部では募集賃料の上昇も見られるなど、回復への動きが見られた。また不動産投資市場においては良好な資金調達環境を背景に、J-REIT や私募ファンド等の物件取得姿勢が積極化するなど、市場全般の活性化がみられた。
今後は、規制緩和、税制支援等を引き続き要請し、円高、株価上昇の効果だけではなく、成長産業などの実体経済の力強い回復により、資産デフレからの脱却を期待する。