海外トピックス

2009/7/3

明美コーンのアメリカ便り vol.134 グリーンビジネス 

100年近い間に持ち主もビジネスも何度か変わったシカゴ市の歴史的な建物。写真提供:Green Exchange
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100年近い間に持ち主もビジネスも何度か変わったシカゴ市の歴史的な建物。写真提供:Green Exchange
まだオープンしていないグリーンエクスチェンジショッピングセンターの建物(イリノイ州シカゴ市。以下同)
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まだオープンしていないグリーンエクスチェンジショッピングセンターの建物(イリノイ州シカゴ市。以下同)
美しく改築改装された時計台には、グリーンエクスチェンジのGとXの頭文字が見られる
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美しく改築改装された時計台には、グリーンエクスチェンジのGとXの頭文字が見られる
この建物がいかに“グリーン”であるか、シカゴ市も協力。詳しく具体的な説明を加えている
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この建物がいかに“グリーン”であるか、シカゴ市も協力。詳しく具体的な説明を加えている
グリーンエクスチェンジの近隣には、トレンディなレストランやカフェ、ブティックなどが続々とオープン
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グリーンエクスチェンジの近隣には、トレンディなレストランやカフェ、ブティックなどが続々とオープン
プロフィール:明美コーン
なかの・あけみ・コーン
明美コーン横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。89年クランブルック・アカデミー・オブ・アートにてファイバーアート修士課程修了。現在Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日本でも個展を開催している他、受注制作も行なう。

アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。また、音楽家の夫と共に、シカゴ、その他で複数のアパート経営をする実業家でもある。
まるごと「グリーン」なコミュニティが誕生?
先見の明があるとしても、バウム兄弟によるグリーンのショッピングセンター建設はとてつもなく大きな賭けと言えよう。
「グリーン」な建材使用と建築構造というだけでなく、自然食レストランやグリーン建材料店、エコ衣料店、照明器具など、あくまで「グリーン」をポリシーとする小売店と、環境保全をモットーにするサービス業者をテナントとして選び、公共スペースもエコ関係の催しに絞るなど、まるごとグリーンなコミュニティの創造、という画期的なアイディアなのである。
これまでにも、オレゴン州ポートランド市にエコフレンドリーな店舗が1ヵ所にまとめられたショッピングセンターがあったが、「グリーンエクスチェンジ (Green Exchange)」 と名付けられたこのショッピングモールはその4倍という規模、全米一の規模となる。
しかし、2年前にこのプロジェクトが計画された際には、シカゴに根付くにはまだ早い、リスクが大きすぎるなど、成功を危ぶむ声が圧倒的に多かったのである。

ユーザーは、「経済的」「環境保全に貢献」の2つの満足感
以前から「グリーン」は注目を集めてはいるが、こういった商品の値段は普通の商品に比べて高い。それを納得して購入するのは、地球保全に貢献するという主張であり、グリーンとは、生き方や価値観の選択のひとつ、といった印象が強かった。
ところが、前回述べたように、不況下の今、「グリーン」と「節約」が歩み寄ってきている。信念、道徳、倫理的な義務、地球危機感などといった抽象的な理由もさりながら、健康であることは医療費の節約になるし(アメリカの医療保険制度は日本と違って驚くほど高価)、ソーラーパネルやエコフレンドリーなトイレットは長い目で見れば家計費節約、とグリーンの合理性に納得する人々も増え、衣、食、住はすっかりグリーンがかった感がある。
マーケティングの面から見ても、こういった複合的な売り方、つまり経済的かつ環境保全に貢献、という2つの満足感を購買者に与えるので、広告宣伝媒体における戦略としておおいに取り上げられている様子がうかがえる。

工場撤退後の建物を、30億円、2年間かけて大改装
こうした動きのなか、先頭を独走する商業物件“グリーンエクスチェンジ”ショッピングセンターが注目を浴びているのである。
1914年にランプ製造工場として建てられたビルだが、2005年にランプ製造を中国に移したため、築100年近い歴史的なこの建物は土地建物開発業者のダグラスとディヴィッドのバウム兄弟の手に渡り、グリーンビジネスとして大改築が開始された。7億5千万円で建物を買い取ったバウム兄弟は何と4倍の30億円を投資し、2年間かけて大改築中。建物は4階建て、2万5,300平方メートルの床面積を持つ。1階2階はエコフレンドリーなテナント、例えば木の乱伐を防ぎバナナや野生の草を使った紙製品のギフトショップや植物製インク使用の印刷屋、電気自動車やハイブリッドカーなどのショールームも予定されている。3階と4階は事務所兼住居。各所に大きく確保した窓からは充分な自然光を採ることができ、センサーで調節利用される。シカゴ中心部を見晴らす屋上にはソーラーパネルを設置するほか、屋上庭園として芝など植物を一面に植えて温度の上昇を抑制。散水には雨水を貯めて循環させる。
結果として、すべてのテナントはエレベーターやシャワー、照明などのエネルギー節約という多くの利益を受ける(www.greenexchange.com)。

小売店としての採算性には、商品価格の高さがネックに…
機は熟しているのかもしれない。シカゴのリチャード・ディリー市長は公共の建物など屋上に植物を植えるとか、建設資材をエコフレンドリーなものにするよう大々的に市民に奨励、市としても助成金補助など積極的にグリーン対策を押し進めている。
アメリカ全人口のうち12%の人々がグリーン商品を支援し、年間230億ドルをこれらのグリーン関係商品に費やしているという2年前のデータがあるが(Chicago Tribune newspaper 02/25/07)、現在ははるかに増えているに違いない。
いずれにせよ、決して小さなマーケットではない。しかし、問題は依然としてグリーン商品の価格の高さ。これらグリーンな商品が少しでも価格を抑えるために店舗を持たずオンラインで商売をしているのもうなずける。となると、お洒落で注目を集める場所、グリーンエクスチェンジ内に店舗を出しても、果たして採算が合うかどうか躊躇するテナントも将来出てくる懸念はぬぐえない。
バウム兄弟がテナント獲得に苦慮し、もしもグリーンでないテナントを認めることになると、せっかくのポリシーである「グリーンビジネス」の意味が失われてしまう。現在20のテナントが契約しており(ww2.chicagolandchamber.org)、今年末にはオープンする予定だが、「まるごとグリーン」というアイディアをぜひとも徹底してほしいと切に願う。

Akemi Nakano Cohn
www.akemistudio.com
www.akeminakanocohn.blogspot.com







AKEMI NAKANO COHN
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