記者の目 / 仲介・管理

2009/7/5

厳しい賃貸市場で生き抜く!
“同棲”ユーザーに特化したサイト運営と仲介手法

月刊不動産流通・クロスメディア企画
~あの会社・あの人のアナザーアングル~(1)

 このクロスメディア企画では、当サイトを運営する(株)不動産流通研究所が、毎月5日に発行する不動産ビジネス専門誌「月刊不動産流通」において取材させていただいた方々にご登場いただき、月刊誌の誌面では掲載しきれなかった“あんな話、こんな話”を紹介します。  今回は、本日発売の月刊不動産流通2009年8月号「Click!Webmaster」コーナー(地場不動産会社のホームページ運営上の工夫内容を紹介するコーナー)にご登場いただいた(株)石井地所が運営するホームページ「同棲 新生活館」について、同社専務取締役の瀬下禎生氏に伺いました。

「同棲 新生活館」トップページ。それぞれのライフスタイルから物件を選べるよう、「初期費用を抑えたいお二人に…」「綺麗なお部屋がいいお二人に…」などのコンテンツを設けている
「同棲 新生活館」トップページ。それぞれのライフスタイルから物件を選べるよう、「初期費用を抑えたいお二人に…」「綺麗なお部屋がいいお二人に…」などのコンテンツを設けている
最近では、家賃を抑えるため、2人暮らしでも1Rや1DKの物件の需要もあるそう(写真は同ホームページ物件情報コーナーより[2009年6月11日時点に掲載されていたもの])
最近では、家賃を抑えるため、2人暮らしでも1Rや1DKの物件の需要もあるそう(写真は同ホームページ物件情報コーナーより[2009年6月11日時点に掲載されていたもの])
顧客層に合わせて女性でも抵抗のないよう、入りやすい外観に改装した石井地所の店舗(写真は月刊不動産流通2004年6月号「店舗/広告/サービス 各社の集客ひと工夫」より)
顧客層に合わせて女性でも抵抗のないよう、入りやすい外観に改装した石井地所の店舗(写真は月刊不動産流通2004年6月号「店舗/広告/サービス 各社の集客ひと工夫」より)

■□入居者の要望に合致した物件サイトを開設■□

 京王・京王井の頭線「明大前」駅前に店舗を構える石井地所は、賃貸仲介・管理を中心に1945年から営業する老舗だ。競合他社が多い同エリアで、さまざまな工夫を行ない、集客で差別化を図っている。
 その一つが、今回紹介する「同棲 新生活館」(http://www.dousei-chintai-sinseikatukan.com/)というサイトだ。

 同社の賃貸ユーザーの中心は20~30歳代の女性。大半が社会人で、パートナーがいる人も多く、当初一人で借りていても、数年後には同棲できる物件へと住み替えたいというニーズが高いのだとか。
 「同棲物件専用のサイトを立ち上げようと具体的な話が出たのが2006年。そこから1年間テスト期間を設けて、テストページを作成。オーバーチュア広告を設置したところ反響が高かったため、07年2月に正式オープンしました」(瀬下氏)。
 現在オープンから2年半程度しか経過していないが、アクセス数・問い合わせ数とも上々だという。

 最近は、不況による影響で、ダウンサイジングして、家賃を落としたい顧客が多いことから、1Rや1DKの物件も人気が高いそうで、同サイトにも「入居費用を抑えたいお二人に」などのコンテンツを設け、狭小物件も紹介している。

■□専任物件取扱いが多い、老舗企業ならではの仲介・管理手法■□

 ところで近年、ライフスタイルが多様化したことや、賃料を低く抑えられることから、ルーム・ハウスシェアや、ゲストハウス住まいなど、複数人で住むスタイルが注目されている。

 築年数が経過した物件を有効活用できたり、高い利回りも確保しやすいなど、管理会社やオーナーにとっても魅力ある事業だ。
 一方、管理側として気になるのは、「途中退去」や「家賃滞納」などが生じたとき、一般の賃貸管理より対応がやっかいになるでは…という点だろう。

 同棲もこれに該当するのではと思いきや、瀬下氏は意外にもこう語る。
 「20年以上男女のカップルに仲介しており、ここ10年は件数も増加傾向にありますが、一度もそういったトラブルは起きていません。
 意外にトラブルが多いのは、友人同士など“同性”の同居。女性同士は、ルール決めをしても少しずつストレスが溜まってきて1年ともたないことが多いです。男性は家賃を払った・払っていないの揉め事が多いですね」。
 この年代のカップルは経済観念もしっかりしており、両者勤め人のケースも多く、リスクは低いのだとか。

 通常ルームシェアなどでは、リスクヘッジのため契約はそれぞれの入居者と結ぶというケースも多いが、専任物件を多く取り扱う同社では、オーナーとの信頼関係も厚く、交渉がしやすいため、契約書上ではカップルのうち一人が契約すればいいとしている。一人入居と変わらない契約形態は、ユーザーからも好評だそうだ。
 「これこそ地場企業の強みですね。地域に根ざして営業していますから、問題が起きても逃げない、とオーナーも安心感があるようです。
 また、近年、明大前駅周辺も空室率が高くなっていることから、オーナーさんも、空室にしておくよりは、2名でも入ってもらいたい、と考えている人が多い」と瀬下氏は語る。
 ただ、「退去は2人同時」、「相手の途中変更は不可」など、禁止事項を事前にしっかり伝えておくことがポイントのようだ。

 賃貸仲介、管理いずれも非常に厳しい時代だが、自社のターゲットとマーケットに合致したニーズを的確にキャッチし、ユーザーにとってわかりやすい入口を設けることで顧客獲得ができるということだろう。(umi)

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【関連記事】
※同社のメインホームページ「明大前 新生活館」(http://www.meidaimae-chintai-no1.com/)の工夫内容については、
本日発売の『月刊不動産流通2009年8月号』を、
おしゃれな店舗の見せ方や改装した経緯などについては、『月刊不動産流通2004年6月号』
をご覧ください!!

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