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「今後の土地住宅税制のあり方に関するとりまとめ」を発表/全宅連

 (社)全国宅地建物取引業協会連合会(会長:藤田和夫氏)は9日、「今後の土地住宅税制のあり方に関するとりまとめ」を発表した。

 2006年6月設置の「今後の土地住宅税制のあり方に関する調査研究会」(座長:上智大学経済学部教授・山崎福寿氏)による研究成果をまとめたもの。同研究会はこれまで、消費税率引き上げに伴う土地住宅税制のあり方と07年度税制への要望にあたっての論点整理とするための「中間とりまとめ」を、06年10月に発表している。今回のとりまとめは、財政問題、高齢化社会・介護問題など多角的な観点から、住宅に係る消費税のあり方、住宅政策・税制のあるべき姿を探ったもの。

 とりまとめでは、「まず消費税増税ありき」という国の財政政策や、介護や医療制度上も重要である「住宅事情の改善」を阻害する消費税増税論議についての政策的矛盾を指摘。また、消費税増税による住宅市場への影響をシミュレーションした。研究会の住宅着工モデルでは、消費税率を09年に8%、10年に10%と段階的に上昇させた場合、約5.6万戸の住宅着工が減少、住宅投資額が約1.2兆円減少するとしている。さらに、住宅取得時の関連消費が約784億円減少するほか、消費税負担による「予算制約」(もしくは流動性制約)が一次取得者層などに対して大きく働く、としている。

 今回のとりまとめについて、同研究会座長代理の浅田義久氏(日本大学経済学部教授)は「そもそも不動産というストックに、フローの税金である消費税を課税することに矛盾がある。それによって住宅・不動産の流動性が阻害され、流通市場が縮小すれば、国が進める200年住宅など意味を成さなくなる。重複課税の問題もあるし、2%という引き上げ率についても前提条件が希薄。住宅に消費税を課税するなとは言わないが、その課税根拠と方法については十分な議論が必要だ」などと語った。

 同研究会は、さらに消費税増税効果の詳細なシミュレーションなどを実施するほか、「毎年、税制改正を繰り返す現在の税制のあり方は望ましくない。消費税問題を含めた恒久的な税制のあり方について、長いスパンで研究し、提言したい」(全宅連・土地住宅対策委員長、市川宣克氏)としている。


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