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「ひばりが丘団地」のストック再生実証試験を公開/UR都市機構

再生実証実験により生まれ変わった3棟
再生前の3棟
階段室を取り壊し、新設されたエレベータ
上下2戸を螺旋階段でつないだメゾネット住戸

 (独)都市再生機構(UR都市機構)がひばりが丘団地(東京都東久留米市)で進めてきた住棟単位での改修技術の開発によるストック再生実証試験「ルネッサンス計画1」が施工を完了。29日、報道陣に公開された。

 同計画は、UR都市機構が管理する76万戸の賃貸住宅のうち、約6割を占める「エレベータのない階段室型団地」を有効に活用することを目的に、ハード・ソフト両面から再生手法を実証する試み。1960年に建築され、解体が予定されている同団地の3棟・80室(RC4階建壁式工法、2DK・35平方メートル)を用い、バリアフリー化、内装・設備の近代化などに加え、低床化、1.5層化、2戸1・4戸1改修による居住空間の拡大、梁せい縮小、スラブ打ち増しによる遮音性能向上、断熱性能向上等による快適性向上も図っている。

 また、既存不適格への対応を視野に入れた「減築」、設備配管の集約・外部化による改修の容易化、太陽熱利用給湯等による環境負荷の低減、外付け廊下と階段室へのエレベータ新設によるバリアフリー化といった新工法・新技術も数多く導入した。

 同機構の試算では、既存ストックを有効活用することで、同規模建物への建替えと比較して、建築コストは約2割、廃棄物処理を含めたCO2排出量を約5割削減できるという。ただし、実証試験に導入した各種技術については、現行の建築基準法に対応していないものもあり、即実用化することは難しいという。

 同機構は、「ルネッサンス計画1」の完了に伴い、ソフト面での再生手法検証を核とした「ルネッサンス計画2」を始動。同団地を始め、再生事業により用途廃止されたUR賃貸住宅を、民間事業者へ住棟もしくは敷地ごと賃貸または譲渡。民間事業者のアイディアで、UR賃貸住宅とは異なる多様な住宅(シェアハウス、ケア付き住宅など)や子育て・高齢者施設等として再生。10~20年間にわたり活用することで、団地や周辺地域の魅力向上を図る。

 なお、今回完成した実証実験住棟は、10月13日から一般公開する。


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