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耐震改修モデル事業、池上・本妙院の免震工事を公開/スターツグループ

本妙院本堂の床下ではジャッキアップ後、免震工事を施工している
サンドルを組みながら約1.5mジャッキアップした様子。ジャッキアップ用の鋼材と免震用の補強鋼材を兼ねるようにすることでコストダウンに

 スターツグループのスターツCAM(株)とエス・テク・リソース(株)は25日、同社が耐震改修(免震)工事を施工している池上・本妙院(東京都大田区)にて、その工事状況を記者向けに公開した。

 池上本門寺の支院・本妙院の本堂は、開口部が多く耐震に有効な壁量が少ないため、大地震の際倒壊の恐れがあることから、09年9月より同社の免震工法「ハイ免震」を用いて、耐震改修をスタート。(1)壁量に頼らない耐震補強、(2)本堂の使い勝手を変えない、(3)寺院としての意匠を損なわない、(4)コストを大幅に低減、を特徴として工事が進んでいる。
 具体的には、壁量に頼る一般的な耐震補強ではなく、免震工法を採用することで、壁を増設することなく地震の力を低減するほか、耐震補強の箇所を、小屋裏、床下、下屋と目に付きにくい場所に行なうことで、寺院としての外観・意匠には大きな変更を加えず耐震化を図る。また、一般的な「2重床」の免震ではなく、礎石を免震装置に置き換える「柱脚免震」とすることで、コスト・工費を圧縮している。
 同事業は平成20年度 国土交通省「住宅・建築物耐震改修モデル事業」に採択されている。

 エス・テク・リソース代表取締役社長兼スターツCAM執行役員の遠藤慎二氏は「寺社に代表される伝統的な木造建築物は国内に7,000~8,000件あるといわれるが、耐震が十分でない建物も多い。世の中ではこういった建物を補強するための技術開発が進んでいるが、スターツグループでは、既存の建物や装飾品をなるべくそのまま生かし、これまでの住宅における免震工事の実績を生かしながら地震から建物を守っていきたい」と述べた。

 なお、本妙院の工事完了は、2010年9月を予定している。


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