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賃借人の満足度向上が、賃貸住宅事業の要に/近代化センター調査

 (財)不動産流通近代化センターは2日、「賃貸住宅事業の新たな流れ、方向性について」と題した調査研究事業のとりまとめを公表した。

 同とりまとめは、日本の人口や世帯構成の変化等にもとづく「マクロな視点」と、中小事業者等へのヒアリング調査にもとづいた「ミクロな視点」をもとに、今後の賃貸住宅事業の方向性等を考察した、同センター独自の調査研究事業。

 マクロな視点では、世帯のダウンサイズ化、特に「単独世帯」の増加等により、「持ち家だけでなく賃貸住宅への根強い需要が、住宅市場に今後も継続する可能性が高い」と分析した。

 ミクロな視点では、賃貸住宅管理等を行なっている50社へヒアリング。(1)サブリース方式を中小事業者も積極的に採用する事例がみられる、(2)定期借家を積極的に活用し、賃貸借契約内容の明確化を図るケースが出てきている、(3)賃貸借契約時の一時金授受をできるだけなくし、月額賃料をベースに賃貸経営を進める動きも生じてきている等の15項目を、今後の賃貸経営を進めていくポイントとして挙げた。

 今後の賃貸住宅事業の方向性として、賃貸住宅を作れば賃借人が入るという時代は終わったとしたうえで、(1)プロとして市場ニーズに応じた適切な運営、コーディネート等ができる能力、(2)ターゲットを明確にしたマーケティングにもとづく住宅供給、(3)住宅にとどまらず、近隣や地域社会等も含めたコミュニティの回復、などが必要とコメントしている。

 発表会の席上、不動産流通センター研究所研究部課長の三澤秀俊氏は「今後はオーナーだけでなく、賃借人の満足度を高める施策を積極的に講じていかなければならない。入居率の維持が、結果的にオーナーの満足度にもつながる」と述べた。


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