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新耐震の建物でも「耐震性に問題あり」が80%超/木耐協調査

 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)はこのほど、「木造住宅の耐震診断に関する調査データ」を発表した。1950年以降、2000年5月までに着工された木造在来工法2階建て以下の建物を対象に、06年4月1日から10年11月30日までの4年8ヵ月間に木協会で耐震診断を実施。そのうち、診断結果の詳細を把握している1万1,121件を分析したもの。

 診断案件を建築基準法が改正された81年で区分すると、いわゆる旧耐震といわれる、80年以前の案件の96.31%が耐震性に問題ありという結果になった。
 また、最も危険性の高い「倒壊する可能性が高い」の割合が80.63%となっており、早急な対応が必要なことがわかった。

 新耐震といわれる81年以降の建物でも、82.14%で耐震性に問題があり、単純に新耐震だからという理由で安心とはいえない結果となった。
 評点を下げた要因としては、(1)建物の劣化、(2)2000年に基準が改正された壁の配置バランスによる低減(偏心率)、(3)設計図書の紛失などが挙げられた。

 また、診断を行なった地域に耐震補強工事の助成制度が設けられているかどうかによって、耐震診断や補強工事を実施する割合に違いがあるかどうかを調査したところ、工事実施率全体・平均施工金額とも「助成制度あり」が「助成制度なし」を若干上回る結果となった。耐震化の促進において自治体の助成制度が与える影響が大きいことがわかった。
 一方、耐震診断の結果では、自治体の助成制度の有無による大きな違いは見られなかった。これは家屋の耐震性能が全体的に不足していることを表しており、性能の劣る家屋が積極的に耐震診断を受診しているわけではないことを裏付けている。

 詳細についてはホームページを参照のこと。


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