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東日本大震災被害や対応等について報告/建築研究所

 (独)建築研究所は9日、第6回目となる専門紙記者との懇談会を開催し、東日本大震災被害の全般的な状況等について報告した。

 東日本大震災の被害とその対応をテーマに、(1)大震災への研究所の対応状況、(2)津波による建築物被害、(3)地震動による天井落下被害、(4)建物の強震観測と長周期地震動、(5)タブレット型情報端末機器による被災建物調査ツールの開発、等が報告された。

 鉄筋コンクリート造建築物の被害については、杭基礎が引き抜け、引きずられた痕跡がなく約70m移動して横倒しになった4階建て旅館や、支持スパンが10mを超える厚さ300mmの耐震壁が、津波の波圧で内側に大きく湾曲した事例などが紹介された。
 また、木造建築物の被害では、浸水深に応じた被害形態の特徴として、浸水深が2階軒高以上ある場合はほとんどの木造建築物は流失し、一方、浸水深が1階床上程度までである場合は、ほとんど残存していることなどが報告された。
 建築研究所では、こうした調査結果について、建築基準等の整備に役立つ技術的な資料をとりまとめていく予定で、今後も日本建築学会や米国土木学会と情報交換・連携し、関連する研究を継続していくとしている。

 一方、天井落下被害については、広範囲の地域で被害が確認されたとし、本震の震度でおおむね5弱から7の地域に位置していると報告。茨城空港ターミナルビルなどを例に挙げ、旧耐震基準、新耐震基準にかかわらず被害が多く確認されたことを明らかにした。

 報告会で挨拶した理事長の村上周三氏は「東日本大震災の翌日より構造別に建築物の被害調査を行なった。津波避難ビル等の津波荷重や耐津波設計のための情報収集、建築物の被害発生のメカニズムの把握など、調査結果や研究成果を普及して、行政に対して技術的支援を行なっていきたい」などと述べた。


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