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鑑定評価業務の適正化目指す「鑑定評価監視委員会」が初会合/日本不動産鑑定協会

 (社)日本不動産鑑定協会は、「鑑定評価監視委員会」を発足。9日、初会合を開いた。

 同委員会は、2011年8月、「かんぽの宿」等の鑑定に関連し、不動産鑑定士、不動産鑑定業者が行政処分されたことを踏まえ、鑑定評価業務の適正な実施を確保し、鑑定評価の社会的信頼の維持および向上を目的に、第三者委員会として設立したもの。日本弁護士連合会元会長の平山正剛氏が委員長に就任。日本公認会計士協会綱紀審査会調査部会副部会長・鈴木 豊氏など、計7名で構成される。

 第1回会合は、「依頼者プレッシャー対応」や「ガイドラインの遵守状況調査」について議論した。「依頼者プレッシャーの対応」では、会員に対する定期的アンケート調査の実施および結果を公表するほか、依頼者プレッシャー通報制度により通報があった場合、その事実確認、依頼者への照会もしくは通知、または依頼者名を公表していくことを決定した。

 「ガイドラインの遵守状況調査」では、鑑定評価業務の内容に関する疑義について内外からの問い合わせに対する事実確認および不適切な事案の調査、入札や社会的影響が大きく依頼者名が周知されている鑑定評価業務について評価条件その他仕様書の適切性に関する監視または当該鑑定評価の追跡調査、鑑定評価に関する内外からの照会に関連する調査などを実施していく。

 なお同委員会は、必要に応じて不動産鑑定業者や不動産鑑定士に対して助言または勧告していくが、鑑定士等が調査に応じない場合は、不動産の鑑定評価に関する法律第45条に規定する国土交通省による検査を要請する方針。委員会の活動状況は、毎年1回理事会に報告するとともに、同協会ホームページに掲載していく。

 初会合の冒頭挨拶した同協会会長の緒方瑞穂氏は「専門家としての責任を果たし、自らを律することで社会国民の信頼を維持するために、第三者委員会としてこの委員会を設置した。外部専門家の委員の方々にはお忙しいところ委員会にご出席いただき、無事第1回目を開催できた。委員会は協会内部に設けられているが、会長といえども会議内容や決定に容喙することのできない、強い存在として位置付けた。この会によって適正な鑑定業務を推進し、社会の信頼を確保・向上していきたい」などと述べた。

 次回開催は12年3月を予定している。


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