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築45年の団地を次世代エネルギー技術でリノベーション/ブルースタジオ他

築45年の階段式団地を1棟リノベーション。燃料電池、太陽光発電、蓄電池を利用した最新エネルギーシステムを搭載した
外開き窓によってほぼ2倍の通風が期待できる
可動式間仕切りにより間取りに可変性を持たせた
老朽化が進んでいた従前の内装

 (株)ブルースタジオは1日、JX日鉱日石エネルギー(株)(以下、JX)オリジナルの集合住宅向けエネルギーシステムを搭載し、リノベーションした団地1棟(横浜市磯子区、総戸数16戸)を、報道陣などに公開した。

 同物件は、JR根岸線「磯子」駅徒歩15分に位置する「汐見台団地」の1つで、鉄筋コンクリート造地上4階建て、1967年築。JXは同団地のうち13棟を社宅として保有しており、そのうち1棟を同社の新開発した集合住宅向けエネルギーシステムの実験棟も兼ねてリノベーションすることに決定、設計監理をブルースタジオに依頼した。
 「環境に配慮したエネルギーシステムを搭載するのだから、建て替えではなく、リノベーションという環境に優しい方法を採用した」(同社新エネルギーシステム事業本部エネルギーシステム開発部システム開発1グループ担当マネージャー・富髙賢仁氏)。

 燃料電池「エネファーム」(4.2kW)、太陽光発電(20kW)、蓄電池(30kWh)を搭載。電力と温水を全住戸に一括供給する。燃料電池は電源・熱源として24時間稼働。太陽光発電による余剰電力を蓄電池に充電し、夕方・夜間の電力やヒートポンブ式給湯器によって熱に変換、貯湯のための利用に充当する。電力自給率80%、CO2排出量50%削減を目指す。横浜スマートシティプロジェクトにも採択されており、入居者はHEMSを通じ今後3年間実証結果を報告していく。

 一方、リノベーションでは、外観は塗装を中心にとどめ、住戸内も環境に配慮した同物件のコンセプトに合わせパッシブデザインを採用。「高断熱材や天然無垢材に加え、間口が広く南北両面の壁に開口部を持つ『階段室型団地』の特性を活かし、窓を外開きタイプとしてウインドキャッチャーの機能を持たせた」(ブルースタジオ専務取締役・大島芳彦氏)。
 住戸は、専有面積42.3平方メートル。社宅として単身者からファミリー世帯まで幅広く対応するため、水回りを南側に集約し、光と風を取り入れ換気効率を上げながら居室面積を確保。可動式間仕切りにより入居者が自由にレイアウトを変更できる仕様にした。

 同物件はリノベーションにより人気を集め、募集倍率は5~6倍に達しているという。JXは、今後も同様のプロジェクトを「創エネリノベーション」として進めていく方針。団地や社宅保有者にはもちろん、適正価格で一般賃貸住宅オーナーにも提供していく考え。


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