不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

インスペクションガイドライン、パブコメ経て5月中に公開/国交省

 国土交通省は26日、「既存住宅インスペクション・ガイドライン検討会」(座長:深尾精一首都大学東京教授)の第4回会合を開き、同ガイドライン案を公表した。

 同案は、インスペクションの方法や手順、検査項目、消費者に開示すべき情報のあり方など基礎的項目を取りまとめたもの。インスペクション(既存住宅現況調査)を「売買の対象となる住宅については、基礎、外壁等の住宅の部位毎に生じているひび割れ、欠損といった劣化事象及び不具合事象の状況を、目視を中心とした非破壊検査による把握し、その調査・検査結果を依頼主に報告すること」と定義。構造耐力上の安全性が損なわれる劣化(蟻害、躯体のひび割れ、腐朽・腐食、傾斜など)、雨漏り・水漏れ、給排水管の漏れやつまりなどを検査項目として挙げた。

 検査を行なうもの(検査人)については、建築士や建築施工管理技士など住宅の建築に関する一定の資格や実務経験を有していることを1つの目安とするとした。とくに検査人は、公正な業務を実施するための「第三者性」(客観性・中立性)を保つべきとし、(1)宅建業、建設業、リフォーム業を営んでいる場合は、その旨を明らかにする、(2)自らが売主となる住宅のインスペクション業務を実施しない、(3)依頼主の意思に反して住宅の売買やリフォーム工事の実施を誘導しない、(4)住宅の流通、リフォーム等に関わる事業者から、インスペクション業務の実施に際し、金銭的利益の提供や中立性を損なう恐れのある便宜的供与を受けない、などと盛り込んだ。

 同日の会合では、共同住宅の共用部まで検査が及ぶ場合のスタンスや、第三者性の考え方等に意見が出たが、概ね原案を支持する方向でまとまった。同省は、同案をもとにパブリックコメントを実施。5月中にガイドラインの最終とりまとめを発表する。

 それを受け、(1)検査人の育成、(2)既存住宅売買瑕疵保証保険の現場検査とフラット35の適合証明業務との一本化、(3)インスペクション結果を受けた、住宅の質の建物評価・価値への反映、(4)性能向上リフォームをする場合の診断・評価、住宅履歴情報の蓄積・活用等、良質な住宅ストック形成に向けたインスペクションの活用法などを検討していく。

 会合で挨拶に立った、同省住宅局住宅生産課長の伊藤明子氏は「インスペクションは幅広い概念を持った言葉であり、今回のガイドラインはその基本的なものをまとめたに過ぎない。さまざまな宿題は残っているが、まず一歩前に進み、育てていくことが大事だと思っている」などと語った。


最新刊のお知らせ

2024年5月号

住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには? ご購読はこちら