不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

東京・高島平団地の一部住戸をサ付き住宅に改修/UR都市機構他

LDKを南北に広く確保し、明るさを出したプラン。奥に4畳程度の寝室を設置
玄関は広さを確保し、車イスなどを置くことも可
水回りも車イスで利用しやすいよう改修
サービス拠点を近くの店舗区画に設置。利用料を支払えばサ付き住宅以外の入居者も利用可
サ付き住宅導入住棟外観

 (独)都市再生機構(UR都市機構)と(株)コミュニティネットは26日、「高島平団地」(東京都板橋区、総戸数8,287戸、管理開始1971年~)において進めてきた、サービス付き高齢者向け住宅(サ付き住宅)整備事業の竣工に伴い、報道陣向けに発表した。

 今年1月に発表した「超高齢社会における住まい・コミュニティのあり方検討会」のとりまとめを受け、20年度までに全国約100団地で地域医療福祉拠点の形成を目指していくプロジェクトの一環。「高島平団地」は、都心への好アクセス、緑豊かな住環境、活発な自治会活動等優れた点が多いものの、入居者のうち約半数が高齢者と高齢化問題を抱えることから、多世代の人にとって魅力ある団地形成への取り組みを進めている。

 今回は、同団地内のUR賃貸住宅の一部住戸をコミュニティネットが長期(20年間)で借り上げ、サ付き住宅に改修し、同社サ付き住宅ブランド「ゆいま~る高島平」としてオープンするもの。これまでUR都市機構では、建て替えや1棟リノベーションによってサ付き住宅化したことはあったが、住戸単位で改修するのは初の試みとなる。コミュニティネット代表取締役社長の高橋英與氏は「バラバラの住戸改修でサ付き住宅とするのには苦労もあったが、少ない投資で済むため、安価で貸し出すことができる。今のユーザーニーズに合致したサ付き住宅ができた」と話した。

 対象住棟は1972年築の鉄筋コンクリート造11階建て。耐震改修およびエレベーター設置の工事済み。都営三田線「高島平」駅徒歩11分に立地。30戸を車イス利用も可能なバリアフリーに改修。「収納が多い」「ダイニングが大きい」「LDKが明るい」の3タイプを用意した。改修費用は1戸当たり約450万円。

 また、住棟近くの店舗区画に高齢者向け生活支援サービスの拠点をオープン。介護の資格を持つ生活コーディネーターが日中常駐し、安否確認、生活相談、緊急時の対応を行なっていくほか、高齢者参加型の部会活動、イベントづくり、サークル活動を展開し、地域連携の拠点を目指す。サ付き住宅入居者はもちろん、他の入居者も利用できる。利用料は単身の場合3万6,000円、二人世帯の場合5万4,000円。

 住戸は1DK、1LDK。専有面積42~43平方メートル。賃料は一括払いの場合(年齢別で異なる)786万~1,765万円、月額払いの場合9万3,600~9万8,100円。いずれも共益費等は別。
 募集前にもかかわらず、コミュニティネットのネットワーク等を通じてすでに27戸の入居者が決定しており、そのほとんどが単身女性。「閉塞感がなく、多世帯・多世代のいる住環境」が評価されたという。

 今後も同団地内でサ付き住宅を20戸程度増やす予定。「新たなサービスやコミュニティ、周辺エリアのケア、高齢者の仕事等の生きがいづくりといった仕組みづくりをしていきたい」(高橋氏)。同機構東日本賃貸住宅本部本部長・大谷幸生氏は「地方自治体や自治会、民間企業等と連携しながら生き生きと暮らせる環境創出に努めていきたい」と述べた。


最新刊のお知らせ

2024年5月号

住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには? ご購読はこちら