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住生活基本計画、年内に改定案骨子まとめる/国土交通省

 国土交通省は30日、第43回社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開いた。

 今回の会合では、同省から5年ぶりの改正を行なう住生活基本計画(全国計画)の方向性について発表があった。新たな計画では、基本的な項目案として(1)少子化・若年世帯対策、(2)高齢者対策、(3)空き家対策、(4)質の高い住宅ストック形成、(5)セーフティネット対応、(6)住環境の維持・向上、が挙げられた。

 (1)では、若年・子育て世帯が望む住宅の選択・確保への支援など、(2)ではサービス付き高齢者向け住宅の改善やバリアフリー化、ICT活用住宅など、(3)では中古住宅市場への循環促進、他用途への転換、解体・撤去の促進、(4)では建て替え・リフォームによる耐震性・断熱性能の向上や中古住宅流通・リフォームの活性化、(5)では民間賃貸住宅の活用、福祉等他分野との連携、(6)ではコンパクトシティ制度との連携、木造密集市街地の改善整備などを盛り込んでいく方針。

 また、臨時委員の神山和郎氏((一社)全国住宅産業協会会長)、川口雄一郎氏((公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会会長)、木村恵司氏((一社)不動産協会理事長)が住生活基本計画見直しに向けた提言を行なった。神山氏は、若年・子育て世帯の住宅取得が容易になるよう、対象者に対する住宅ローン控除の期間延長や各種支援策の対象床面積の緩和などを訴えた。川口氏は、住宅セーフティネット不足への対応策として、民間賃貸住宅の空き室や戸建て空き家を公営住宅に準じた住居と位置づけ、量的確保と質的レベル向上を図るよう提言。木村氏は、豊かで持続可能な住生活実現に向けては、高品質な新築住宅の供給と既存ストックの再生等を両立していくべきと訴えた。

 参加した委員からは「若い世代が住生活に夢を持てるよう、思い切った支援策を盛り込むべき」「高齢者向け住宅について、しっかりした居住水準を示してほしい」「老朽化マンション対策を盛り込むべき」「民間賃貸住宅を住宅困窮者向けに活用するため、家主の理解を求める必要がある」「今問題となっている民泊についても盛り込むべき」といった意見があがった。

 同省は、今回の会合での意見を踏まえ、12月14日の次回会合で住生活基本計画改定案の骨子案を発表。審議会での議論とパブリックコメントを経て、年度内の改定を目指す。


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