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帰宅困難者対応で、他の一次滞在施設との連携強化へ/森ビル

 森ビル(株)は、東日本大震災発生から5年経ったことを節目に、同社がこれまで取り組んできた災害対策等について公表した。

 地震による建物の被害状況を即座に一時判定できる地震直後建物被災度推測システム「e-Daps(Earthquake Damage Presumption System)」や、災害時の通信手段となる一般業務用無線を活用したデジタル無線システムを独自開発し、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなど、主要なビルに導入した。また、震災対策本部となる六本木ヒルズでは、エリア放送(フルセグ・ワンセグ)を活用した独自の災害時情報配信システムを構築。帰宅困難者へのリアルタイムな情報提供に活用していく。

 同社ビルや施設のテナント・居住者等に対して、住宅居住者への備蓄品配布、テナント向け宿泊訓練の実施、オフィスシェア用非常用発電機の導入を実施。震災以降は、備蓄品にアルミブランケットを新規購入したほか、食料の品目を食べ物アレルギー保有者や幼児、高齢者にも配慮した内容に刷新した。同社主要施設において、民間最大規模となる計約27万食を確保している。

 帰宅困難者対応では、六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズにおいて港区と「災害発生時における帰宅困難者の受入れ等に関する協力協定」を締結。帰宅困難者受け入れを想定した訓練の実施や港区、消防、警察、地元の企業等で構成される「六本木駅周辺滞留者対策推進協議会」への参画などを行なっている。将来的には、「麻布十番」「広尾」「六本木一丁目」「乃木坂」駅を取り込み、「六本木」駅を核とした組織を構築し、麻布エリアでの帰宅困難者対策を推進していく考え。

 今後は、同社ビル・施設のテナントや帰宅困難者が災害時対応のボランティアに参加できる仕組みづくりや他社の一次滞在施設との連携を強化していく。

 なお、11日には13回目となる「六本木ヒルズ 震災訓練」を開催。六本木ヒルズの居住者やテナント等の六本木ヒルズ自治会構成員や近隣住民など約900人が参加した。同ビル広場にて心肺蘇生・AEDの操作、消火活動などの体験訓練、麻布消防署協力による消防演習を実施した。


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