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神奈川県立保健福祉大学と協定。高齢入居者の健康サポート強化/神奈川県住宅供給公社

15日に両者の連携・協力に関する協定書に調印。左から神奈川県住宅供給公社理事長の猪股篤雄氏、神奈川県立保健福祉大学学長の中村丁次氏

 神奈川県住宅供給公社は15日、神奈川県立保健福祉大学(神奈川県横須賀市)と公社団地入居者の健康寿命を延伸する取り組みで協定を締結した。同社が団地活性化等を目的に大学と連携するのは初めて。

 同社が保有する神奈川県内の団地数は65団地・1万3,500戸弱、入居者数は約3万人。そのうち65歳以上の入居者がいる世帯が約50%を占めているほか、同社が運営する有料老人ホーム6施設の利用者平均年齢も84歳に達していることから、高齢入居者向けの健康サポートへの取り組みが急務となっていた。保健福祉大学においても健康寿命の延伸に関する調査研究を進めたい考えから、今回の連携・協力の協定に至った。

 高齢者の生涯自立において重要な要素の一つである「食事」に着目し、公社団地・施設における(1)栄養調査研究の実施および健康教育プログラムの開発、(2)健康な食事メニューの共同提供や介護予防・食育セミナーの開催のほか、高齢化や空室化が進む団地への(3)保健福祉大学生の入居促進およびコミュニティ活性化を進めていく。
 (1)では、有料老人ホームの利用者を対象に、加齢によって変化する「旨み」について調査・研究。食欲減退によって虚弱化する高齢者の食欲増進につなげたい考え。(2)は、2月より有料老人ホームで入居者参加型ワークショップを開催するなど、すでに取り組みを進めている。セミナーとは別途、個別の食事相談などを受ける予定。(3)は横須賀市内の団地を中心に、空室化が進む高層階への入居誘引や賃料割引などを検討するほか、自治会イベントの参加なども促す予定。

 同日開いた会見で、神奈川県住宅供給公社理事長の猪股篤雄氏は「大学と連携することで具体的な高齢者の自立支援対策を見出していきたい」と述べた。保健福祉大学学長の中村丁次氏は「保健・医療・福祉の専門家として実際の住宅での実証実験を繰り返すことで、高齢者の快適な暮らしづくりにつなげていきたい。今回の取り組みが高齢化・過疎化が進む住宅地の活性化のモデルケースとなることを目指す」と意気込みを語った。


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