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「郊外マンション」の定義、都心からの距離は25km圏前後に収れん。「民力」分岐点とほぼ一致/トータルブレイン調査

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、マンション事業における「郊外」の定義を検証したレポートをまとめた。

 都心から放射状に延びる鉄道路線14路線の各駅圏における「民力(総世帯数、借家世帯数、借家世帯率、借家平均年収)」と新築・中古マンション、新築戸建市場を調査し、明確に傾向が変化する分岐点以遠を「郊外市場」と位置付けた。

 調査14路線の都心と郊外の分岐点は、最近で15km圏(小田急線)、最遠で35km圏(京浜急行線、京浜東北線)、おおむね25km圏に収れんし、通勤時間にして各停で35分前後、急行で30分前後となった。ただし、急行停車駅については、各停の分岐点より遠隔駅でも、都心並みの高単価供給ができるエリアも点在した。また、東急東横線のように、民力水準と住宅市場水準が平準化し、いわゆる「郊外市場」がない沿線もある。

 分岐点では、借家比率が大幅に低くなり、世帯年収も一気に下がる。同様に、新築・中古マンションの成約価格・成約単価も大幅に低下し、新築戸建が分譲マンション価格並みで購入できる市場となる、「民力」と住宅市場の分岐点はほぼ一致した。

 この調査結果を受け同社は、「マンション市場の分岐点は、マーケットの消化能力の分岐点である」とし、「一次取得の実需層にターゲットを回帰する動きは重要だが、マーケットの消化能力をしっかりと見極め、市場分岐点の内側の“郊外ではないエリア”でマンション事業に取り組むことがエリア拡大に伴う事業リスクを抑えることにつながっていく」と結論づけている。


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