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インスペクション制度の具体検討がスタート/国交省

部会の様子

 国土交通省は13日、第27回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:東京大学大学院法学政治学研究科教授・中田裕康氏)を開催した。

 既存住宅流通市場の活性化等を目的に改正され、6月に公布された宅地建物取引業法を踏まえ、改正法施行に向けてインスペクション制度等の具体化を図るとともに、不動産政策をめぐる諸課題について幅広く検討を行なうもの。年内を目処に同部会で審議した内容を反映し、2017年3月に関係省令等を公布する方針。

 今回は、インスペクション制度の具体化について、インスペクションの対象範囲や実施者の要件、標準媒介契約約款の見直し内容等について議論した。

 同省では、前国会での審議を基に、インスペクションを実施する者については、「建物の設計や調査に関する専門知識を有していること」、「適正な業務遂行を担保するための指導・監督等の仕組みが制度上確保されていること」、「円滑に調査が行なわれるために必要な人員が確保されること」とし、この要件を満たす者は、「建築士であって、インスペクションに関する一定の講習を修了した者」であると想定。インスペクションの調査対象範囲は既存住宅売買瑕疵保険の対象としている範囲と同様にすることを想定した内容を提示した。

 また標準媒介契約約款の見直しでは、インスペクション事業者のあっせんに関する事項、媒介物件について売買等の申し込みがあった場合の依頼者に対する報告義務、不動産流通4団体が2011年6月に策定した暴力団等反社会的勢力排除のためのモデル条項について追加する案を提示した。

 委員からは、インスペクションを実施する者について「インスペクションは目視によるものが多い。宅地建物取引士に一定のカリキュラムの講習を受けさせてインスペクターの資格を与えてもらえれば普及にもつながるのではないか」といった意見がある一方で、「第三者性・専門性と指導・監督といったことを考えるとやはり建築士のみ、とした方が良いのでは」との意見もあがった。また、媒介契約約款事項に盛り込まれるインスペクション実施者の「あっせん」の定義についても、どの程度までを指すのかについて議論がなされた。

 次回は11月9日に開催予定。


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