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山本理事長や内山会長らが「リノベの未来」を展望/リノベーション住宅推進協議会

右から山本理事長、内山会長、大島副会長、山下理事。業界をけん引する4人が一同に会し、リノベ業界の今後について意見を述べた

 (一社)リノベーション住宅推進協議会は23日、22日よりスタートした「リノベーションEXPO JAPAN 2016 in TOKYO」の一環で、同会理事長の山本卓也氏((株)インテリックス代表取締役)や会長の内山博文氏(u.company(株)代表取締役)らによるパネルディスカッション「リノベーションの未来を展望」を開催した。

 両氏のほか、リノベーション業界をけん引してきた、同会副会長の大島芳彦氏((株)ブルースタジオ専務取締役)、理事の山下智弘氏(リノベる(株)代表取締役)がパネラーとして参加。「変わりゆく市場」「戸建てリノベーションの可能性」「リノベーションならではの価値創造」といったテーマに沿って意見を述べた。

 首都圏の新築マンション供給戸数が減少する中、「変わりゆく市場」について、山本氏は「今年、首都圏の新築マンション供給戸数が3万1,000~3万2,000戸で推移する一方、中古マンションが3万7,000戸前後となる見込み。日本で初めて新築より中古の成約件数が上回り、大きな節目となる」と話した。
 また、中古マンション価格がピークから落ち着いてきたことを受け、同氏は「中古マンション価格全体が下がっている訳でなく、都心の新築タワーマンション等急激に価格が上がったものが外国人から売りに出されるなど、価格調整が始まったことで中古にも影響が出てきた」と指摘した。

 リノベーション市場の中心がこれまでマンションであったことを踏まえ、今後の「戸建てリノベーションの可能性」について意見を述べた。「ストックに対する流通数がマンションと比較して戸建ては5分の1。仲介会社が戸建て仲介やリノベにかかる税制等の仕組みをより一層知ることで取り組みが活発化していく」(内山氏)、「中古であっても住宅ローン控除が以前に比べ利用しやすくなり、今後は全国的に広がっていくはず。一般的な住宅であれば築20年未満の物件が、優良なストックとしてリノベーションして流通させる意味がある」(山本氏)、「郊外団地などを活用してある一定のエリア(まち)をリノベーションすることで、価格や機能・性能にしばられない付加価値提案ができる」(大島氏)とした。

 また、「リノベーションならではの価値創造」では、「衣食住の衣食では価値として根付いている“エシカル(倫理的)”な視点が今後、住でも評価されるように取り組むべき。建築物としてだけでなく、その物件あることによって生まれる“コミュニケーションの価値”を高めて、お客さまに評価されれば、中古・リノベーション住宅の活性化につながる」(同氏)といった意見があがった。

 そのほか、山下氏は「成功企業はまだいない業界で、各社試行錯誤しながらやっているが、勝負しやすい環境になってきている」と話したほか、山本氏は「経済発展のステージが欧米に追い付き、十分なストックが蓄えられた。今後、中古を買うのが当たり前の時代になっていく」と述べ、将来性のあるマーケットであることを示した。内山氏は「政策的な面は充実してきたが、エンドユーザーにはまだリノベーションの魅力や実態が伝わっておらず、リテラシーを引き上げることが必要。また新築とは違う価値軸の構築や発信を多くの企業ですることが重要になる」と今後の課題を指摘した。


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