パナホーム(株)は12日、多層階(3階建て以上)住宅商品「ビューノ」シリーズについての事業戦略説明会を開き、同社専務執行役員多層階事業本部長の平澤博士氏が現状と今後の展開について説明した。
同社は1977年に3階建て住宅を商品化して以降、2017年度に多層階住宅事業40周年を迎える。11年に「ビューノ」を発売。その後も技術開発を推し進め、14年には工業化住宅では業界最高層となる7階建てを可能にした。さらに今月には9階建ての新商品「ビューノ9」も発表(関連記事)、17年春に発売する。
ビューノは、賃貸併用住宅だけにとどまらない幅広い用途での活用を提案しているのが特徴。最大10.8mスパンの柱間隔をつくれるようにするなど、オフィスや店舗など柔軟に対応できる。15年度の受注高は約700億円で、この数年は年間100億円ペースで増加しており、16年度は受注高800億円を見込む。
ターゲットエリアは、東京、神奈川、大阪など大都市圏の容積率が大きな地域。駅前商店街の老朽化した店舗ビルの建て替えなどに訴求している。これまでのビューノの受注実績のうち、建て替え比率が約7割と同社の戸建て・集合住宅全体の比率を大きく上回っている。今回、9階建てを可能にしたことで、これまで対応力が弱かった容積率500%の地域での土地利用効率の最大化を提案できるようになったという。
営業体制についても、専門店舗「ビューノプラザ」を増設。16年度は4月にさいたま市浦和区、5月に大阪市中央区、8月に東京都世田谷区にビューノプラザをオープンし、全国11店舗体制とした。また、モデルハウスに関しても、17年5月に東京都江東区に業界初の7階建てモデルハウスを開設する予定だ。
平澤氏は「当社がビューノ受注のターゲットとするエリアは、過去10年における人口超過の大きいエリアが多く、賃貸住宅の入居率という側面から見ても、リスクの少ないエリアだ。最近では、個人需要だけではなく、法人所有不動産の建て替え需要も活性化してきた。18年度のビューノシリーズ受注1,000億円へ向けて、強化していきたい」と述べた。

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