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JREITの任意情報開示のあり方で報告書/ARES

 (一社)不動産証券化協会(ARES)は20日、「投資家の利益に資するJリートの情報開示のあり方研究会」の報告書を公表した。

 同研究会は、主にJREITの任意情報開示について多面的に検証、情報開示のあり方に関する基本的な考え方を整理するために検討を進めてきた。委員は、東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏を座長として、学識者、有識者、JREIT運用会社役員など10人で構成している。

 報告書では、現在JREIT各社が行なっている運用資産ごとの鑑定評価額や借入条件といった一般の事業会社では行なわれていない任意の情報開示について「今後も同様の取り組みが望まれる」と評価。一方で、外部に発行体情報を公開することによる競争戦略上の不利益が生じるリスクがあると指摘し、利益・不利益を慎重に吟味し、責任を持った情報開示が必要だとした。

 また、2015年6月に(株)東京証券取引所が示したコーポレートガバナンス・コードの情報開示原則については、JREITにおいても趣旨に即した情報開示に取り組むべきだとした。ただし、JREITに比べて経営自由度の高い一般事業会社との違いに留意しつつ積極的に任意情報開示に努めるべきであるとする。情報開示における重要な留意点としては、公平な競争環境の維持やフェア・ディスクロージャーと投資の不可逆性、開示方針の継続性や比較可能性の担保を挙げている。

 このほか、16年4月に東証が作成した情報開示事例集「東証ケース・スタディ集」に照らし合わせ、具体的な情報開示について検討している。

 報告書の最後に、任意情報開示のあり方に当たっては、JREITの特性である厳格なガバナンスを理解すると共に、成長企図も考慮する必要があるとし、情報開示の多面性に対する理解と、投資家本位の経営姿勢の徹底が肝要だとまとめた。


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