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良質住宅ストックの市場実現へシンポジウムで意見交換/鑑定協連合会

「良質な住宅を適切に評価する市場づくりを」と語る真鍋氏
「金融と維持・保全の取り組みをつなぐのが最大の課題」と語る鴇澤氏
パネルディスカッションの様子

 (公社)日本不動産鑑定士協会連合会は6日、すまい・るホール(東京都文京区)にて「良質住宅ストックの形成のための市場環境整備促進事業に関わるシンポジウム」を開催した。国土交通省の補助事業である同事業について、採択団体が事業の取り組み状況を報告するなどした。

 同事業は、住宅ストックの維持向上・評価・流通・金融等の一体的な仕組みの開発・普及等を支援するもの。良質な住宅ストックが市場において適正に評価される市場環境を整備することを目的として、2016年7月に39団体が採択されている。

 シンポジウムの冒頭、国土交通省住宅局住宅生産課課長の真鍋 純氏が挨拶。「現在、適切に維持管理された住宅が、適切に評価されているかどうか、否定的な声もある。昨年閣議決定して住生活基本計画においても、既存住宅市場の活性化、質の向上、適切に評価される市場の形成等が盛り込まれている。この事業は、こうした状況を少しでも打破することを期待している」と述べた。

 その後挨拶した同連合会常務理事調査研究委員長の鴇澤省一氏は「当連合会では、39団体の仕組みの横断的な制度分析を行なっている。良質住宅のストック形成、ストックの適切な評価、金融面に向けてさまざまな仕組みが提供されているが、本事業では、良質なストック形成、適切な評価、金融面をワンパッケージにした新たな仕組みを開発・周知を図るのが目的。特に金融と住宅の維持・保全をつなぐのは最重要課題となっている」と話した。

 シンポジウムでは、採択39団体を対象に実施したアンケートやヒアリングをもとに、現状分析を行なった。住宅性能基準については、長期優良住宅の採用や準用が多かったほか、独自のラベリングを実施している団体でも、長期優良住宅の基準を採用している団体が多かったという。「特に、維持保全の実効性確保の取り組みについては、(維持保全が)所有者任せになってしまう課題や、積立金を用意する場合でも、その保全が課題となっている」(同連合会)と指摘した。

 また、採択団体のうち北海道R住宅ストック流通推進協議会(代表企業:(株)シー・アイ・エス計画研究所)、TOKYO住まいと暮らしの相談センター(同:(株)加門鑑定事務所)、リフォーム住宅ローン担保評価整備推進協議会(同:(公社)東京都不動産鑑定士協会)、マイホームリース推進協議会(同:(株)常陽銀行)の代表者が登壇し、パネルディスカッションを実施。それぞれの事業の特徴・考え方や維持保全の実効性確保策、開発している金融商品等について意見交換した。


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