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埼玉県越谷市と「蔵や古民家を生かしたまちづくり」で協定/中央住宅

「油長内蔵」贈呈式の様子。左が高橋市長。右が中央住宅品川社長

 埼玉県越谷市とポラスグループの(株)中央住宅は13日、「まちづくりについての連携・協力に関する基本協定」を締結した。

 かつて旧日光街道沿いの宿場町であった同市は、蔵などの歴史的・伝統的な建造物が現存しており、古い市街地が形成されている。一方、沿道に広がる商店街では、経営者の高齢化や後継者不足等の問題から商店街の持続や古い建物の存続が厳しくなってきている。

 一方、中央住宅は16年3月に、同市初の景観協定を締結した現存する蔵「油長内蔵(あぶらちょううちくら)」を移設・改修し、蔵と親和性を持たせ一体的に開発した戸建分譲住宅「ことのは 越ヶ谷(蔵のある街づくりプロジェクト)」(埼玉県越谷市、全4邸)を竣工。同市の沿道において、歴史的建造物を生かしたまちづくりを推進している。

 今後、同社が有するまちづくりに対する技術やノウハウを生かし、歴史的景観を残す蔵や古民家等を活用した趣のあるまちづくりを推進。「越谷」駅を中心とした中心市街地の活性化および住環境の向上に取り組んでいく。

 また同社は、「油長内蔵」を同市に寄贈。「油長内蔵」は江戸時代末期に竣工したもので推定築約150年。土蔵・木造2階建て。敷地面積100.16平方メートル、延床面積48.96平方メートル。今後は、NPO法人、商工会議所などから構成されるまぢづくりや賑わい創出に向けた活動をする団体(油長内蔵協議会)に貸し付け、中心市街地の古民家などの利活用や地域住民などの住まいや土地利用、空き家に関する相談業務などを行なう地域のコミュニティ拠点として活用する予定。

 同日行なわれた締結式で越谷市長の高橋 努氏は、「歴史を再現した趣のあるまち“川越”を見本に、蔵や古民家を生かしたい。(蔵や古民家は)個人の財産なので難しい面もあるが、所有者と議論しながら、どう保存・利活用できるか、皆で力を合せてまちづくりをしていきたい」などと述べた。

 中央住宅代表取締役社長の品川典久氏は、「古いものにはそれなりの良さがある。150年も守り続けてきたという貴重な蔵をいただき、今回、越谷市に引き継ぐことができて喜ばしい。一方で、まちづくりとしては、これからが本当の勝負。越谷市、ポラスグループ、入居者の皆さまや近隣住民の方々と協力しながら、蔵をより有効活用できるようにしていきたい」などと話した。


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