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心理的瑕疵の説明義務について弁護士が解説/RETIO

会場の様子。講師を務めた渡辺弁護士は、心理的瑕疵に関する説明義務や関連判例をわかりやすく解説した

 (一財)不動産適正取引推進機構(RETIO)は16日、すまい・るホール(東京都文京区)で第102回講演会を開催。弁護士の渡辺 晋氏(山下・渡辺法律事務所)が「心理瑕疵の説明義務」について講演した。

 はじめに、心理的瑕疵の基本を解説。心理的瑕疵とは心理的な嫌悪感を指し、法律の規定はなく、そのため契約上の説明義務のほか、瑕疵担保責任、善管注意義務違反などの判例を通じて基準を読みとることとなると説明。
 また心理的瑕疵の原則として、個別性が強いこと(個別性の原則)、時間の経過により瑕疵(嫌悪感)は薄れること(時間希釈の原則)、当事者が話したがらない事情の話で、本来どうしても明らかにしなければならないことではない事象で、それを前提とした調査が必要であること(本来非公開の原則)に整理。
 その上で、個別の判例を紹介・解説した。

 売買のリーディングケースとして、昭和37(1962)年6月21日大阪高裁判決の、自殺があった物件の売買で瑕疵担保責任が否定された事例と、平成元(89)年9月7日判決の同じく自殺があった物件で瑕疵担保責任が肯定された事例を分かりやすく解説。事件発生状況や取得の目的などにより判断は個別事情で判断が分かれ、事件発生からの経過期間についても瑕疵となるかならないかの判断が一様でないと述べた。

 その他、賃貸での判例から見られる共通傾向や、仲介事業者の調査説明義務違反が認められた事例、その部屋で風俗営業が行なわれていたことが瑕疵と認められた事例、振り込め詐欺の送金先として使用されていた事実は心理的瑕疵とは認められないとされた事例などについて、詳しい紹介がなされた。


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