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外国人への寛容度は40歳代で低い傾向

「寛容社会~多文化共生のために<住>ができること」表紙

 (株)LIFULLは19日、社内シンクタンク「LIFULL HOME'S総研」による研究報告書「寛容社会~多文化共生のために<住>ができること」の発行に伴い、記者説明会を開催した。

 同報告書は、住まいやまちづくりなど<住>に関わる領域から、外国人にも優しい寛容な社会のあり方、つくり方を考えるというテーマで実施した調査研究成果をまとめたもの。在日外国人の人口比率が高い市区町村に居住する18~79歳までの男女2,000名を対象に、インターネット調査を実施。調査期間は2月1~13日。

 在留外国人の居住実態については、外国人の8割弱が賃貸住宅に住んでおり、23.1%が「外国人お断り物件」に遭遇していることが分かった。「保証人など日本独自の商習慣や外国語対応も大きな課題」としている。

 また、外国人との交流を希望する日本人は35.1%にとどまったのに対し、77.4%の外国人が日本人との交流を希望しているという結果に。これを受け、「外国人と交流することそのものが、外国人に対して寛容な態度を醸成する」とした。

 外国人に対する寛容度は、40歳代で低い傾向となり、60歳代は20歳代と同程度に寛容度が高かった。さらに、外国人に対する寛容度の低い層では被承認度(どのくらい地域に認められているか)が22.0%だったが、寛容度が高い層は44.0%であることが分かった。

 一方、外国人との「交流度が低い」と、外国人増加に対する肯定的意見は17.4%にとどまるが、「交流度が中程度」では43.2%、「交流度が高い」では62.8%が肯定的意見を持っていた。また、外国人との「交流度が低い」層では、異なる他者に対し寛容的態度は47.7%にとどまるが、「交流度が中程度」では65.3%、「交流度が高い」では73.9%と、交流度が高まるほど社会一般に対しても寛容になる傾向がみられた。

 LIFULL HOME'S総研所長の島原万丈氏は、多文化共生のために<住>ができることについて「入居者差別をなくし、住生活ルールを明文化して共有することが重要。また、住民同士の交流やまちに開いたコミュニティづくりも多文化共生のカギとなる」と話した。

 同報告書は、LIFULL HOME'S総研のWebサイトより申し込みが可能。PDF版のダウンロードもできる。


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