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都市の水害リスク軽減に関するシンポジウム

洪水氾濫リスクの軽減には、
「新たな『流域総合河川計画』の展開が必要である」
と述べる中央大学研究開発機構教授の福岡氏

 (公社)日本不動産学会は1日、すまい・るホール(東京都文京区)にて「水害リスクと不動産」と題し、2017年度春季全国大会シンポジウムを開催した。

 中央大学研究開発機構教授の福岡捷二氏が「都市の水害リスク軽減に向けて―技術革新と他分野との連携の重要性」をテーマに基調講演。河川の大規模氾濫に対する減災のための治水のあり方や国の方針、15年9月に発生した鬼怒川大洪水について触れ、河川の治水能力アップを図るには、治水ストックの効果的な活用や流域での河川計画の実践、どのような技術が必要になるのかの検討などが必要であると指摘。河川からの洪水氾濫のリスクを軽減するには、「堤防の破壊発生リスク、氾濫リスク等を総合化し、新たな「流域総合河川計画」の展開とともに、自治体の部局間、他分野との連携、経済の変化に対する次世代の社会インフラ整備も必要だ」と述べた。

 続いて、日本大学総合科学研究所准教授の安藤至大氏、島根大学法文学部教授の磯村篤範氏、東北大学大学院工学研究科准教授の姥浦道生氏、筑波大学システム情報系社会工学域教授の川島宏一氏が登壇。同学会理事で東京工業大学環境・社会理工学院建築学系教授の中井検裕氏をコーディネーターにパネルディスカッションを実施した。水害に関する「リスク情報」と「公共と個人の責任」についてそれぞれの立場から意見を交わし、中井氏が「河川の特性はそれぞれで違い、その地域の文化や状況も違う。地域に入り込んだ上での議論が大切になる」とまとめた。

パネルディスカッションの様子


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