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ビル・住宅とも多様なニーズへ対応し差別化

「多種多様な働き方、多種多様な住まい方に対応したオフィスと住宅を提案する」
と話す、吉田社長

 三菱地所(株)執行役社長の吉田淳一氏は8日、専門紙記者と会見。今後の事業戦略や向こう3ヵ年にわたる中期経営計画の狙い等について語った。

 主力のビル事業については「足元のマーケットは好調で、空室率は引き続き低下し、賃料も緩やかながら上昇している。新規供給が増えたとしても、当社のお膝元である丸の内や副都心など、利便性の高いプレミアムロケーションや機能性の高いビルへの移転ニーズは高い。空室率が若干上がったとしても5%台が上限だろう」とした。

 社会的課題となっている「働き方改革」については、今年度内に移転する新オフィスと、10年計画で進めているビル事業における目玉プロジェクト「常盤橋プロジェクト」をショールームとして提案していく。「常盤橋が完成するのは10年後。その間の技術革新も導入して陳腐化を防ぐ。大手町と日本橋の結節点として、東京駅前のランドマークとして、グローバルな金融拠点、観光交流拠点などさまざまな人たちが集う、わくわくするようなそこだけの体験ができる、オープンイノベーションフィールドとする。自由な働き方としてテレワークやサテライトオフィスが提案されているが、最後は顔を見ながらコミュニケーションしたいというニーズは強い。働く時間以外のあり方まで視野に入れながら、それぞれのテナント企業にあったフレキシビリティの高いオフィス空間を提案していく」(吉田氏)。

 住宅事業は「安心感や信頼感などを背景に大手のシェアは上がっていくはずで、当社もブランドを磨いていく。厳選投資の制約もあり、再開発や建て替えなどでコストを抑えながら供給戸数を確保していく。立地特性や価格だけでなく、多様なユーザーニーズに合わせた生活サービスなどをトータルで提案していく」とした。

 中期経営計画では、1,000億円の横断投資枠を設けて、ビジネスモデル革新を推進する。「すでに地方空港の運営ビジネスや賃貸住宅のスマート内覧などに取り組んでおり、こうしたビジネスをさらに深く掘り下げていく」(同氏)。また、海外事業についてはアメリカ、ヨーロッパ、アジアでのビル・住宅事業への投資を進め、「将来的には営業利益の2割を海外事業で確保したい」(同氏)とした。


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