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不動産会社が「将来のあり方」探る/埼玉宅協

募集人数を大幅に超えた参加希望者が集まり、定員を20人以上増やした
チームディスカッションでは活発な議論が交わされた

 (公社)埼玉県宅地建物取引業協会は1月30、31日の2日間にわたり、埼玉県宅建会館で「不動産業者のためのタウンマネジメント・スクール」を行なった。

 会員約70人が参加し、既存建物を地域資産として活用する流通・リノベーション・資金調達手法など、不動産事業者によるまちづくりの先進事例を学んだ。同様のスクール型研修は、一昨年に(一社)大阪府宅地建物取引業協会中央支部が行なったが、協会本部で行なったのは埼玉宅協が初めて。

 初日は、日大スポーツ科学部教授・マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員の清水千弘氏が「不動産業のこれから進むべき方向について」と題して基調講演。その後、丸順不動産(株)代表取締役の小山隆輝氏や(株)エスエストラスト代表取締役の杉本浩司氏が地域の価値向上のために行なっている取り組みを紹介。講演の合間には、参加者がチームに分かれてディスカッションを行ない、今後の市場動向や地場不動産事業者のあり方について意見交換した。

 2日目は、地域の既存物件を生かした地域価値向上について、埼玉県草加市、同入間市、東京都文京区の事例をそれぞれチームに分かれて見学した後、埼玉県宅建会館で再び講演・ディスカッションを実施。講演では、NPOモクチン企画代表の連 勇太朗氏が建築業と連携したリノベーション手法について、清陽通商(株)代表取締役の栗本 唯氏がリノベーションに関連する資金調達について講演した。

 最後には、各チームごとに2日間にわたるチームディスカッションを総括。各チームで10年後の不動産業界を予測し、それに応じた不動産業者の今後のあり方について発表した。「空き家増加や人口減少など、明るいキーワードはないが、見方を変えればチャンスだということ。これまでの『競合相手』を『協業相手』にして、サービスの価値を上げていくことがわれわれの役割」「建物と地域に対するコンサルティング力が必要になってくる。お客さまからの絶対的な信頼を得るためには地域やオーナー、行政とのつながりも必要だ」など、地域の深掘りなど、地域密着の事業者である点をメリットとして生かすべきだという声が集まった。

 会場で、埼玉宅協会長の内山俊夫氏は業界誌などのインタビューに応じ、「地域の不動産会社は、意外と10年、20年後の先を見て事業ができていない。しかし、今回のタウンマネジメント・スクールを通じて、将来の不動産業界や自分たちのあり方を考えるきっかけになったことが大きい。個人的な思いだが、今後は行政・消費者も巻き込んだ形式の可能性もあると考えている。全宅連の力を借りながら、こうした情報を全国に発信したい」などと語った。

「地場の不動産会社が将来像を考えるきっかけになったのでは」と語る内山会長


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