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日本橋でICTを活用した救命救急の実証実験

卒倒した人の映像を防犯カメラ画像を通じてAIが検知する

 三井不動産(株)、シスコシステムズ(合)、Coaido(株)(コエイド)は、コレド室町1(東京都中央区)の建物内で、ICTを活用しての救命率向上を目指す共同実証実験を実施した。

 心肺停止で倒れた場合に、目撃者がいないために救助までに時間がかかってしまうケースや、目撃者はいても救急隊到着までに心肺蘇生などの処置ができず命を落とすケースなどが問題となっている。そこで今回、3社が「街を挙げた救命の高度化」をテーマに、実験を行なった。

 建物のエントランスにおいて急病人が卒倒し、その様子を防犯カメラ画像を通じてAIが検知。シスコシステムズが開発した情報連携システム「Spark」を通じて、建物管理者(防災センター、巡回管理要員)へ通知する。それを受けて、防災センターの担当者が「Spark」を通じて位置情報を確認、現場から近い場所にいる巡回管理員などの現場急行を指示すると共に、コエイドが提供する救命知識を持つ人向けの緊急共助ネットワークアプリ「Coaido119」を通じて、防災センターから救命スキル保持者への支援を要請、救急隊到着までの救命活動を実施した。

 「Spark」には卒倒時間やその後の救命活動履歴も記録することができるため、救急隊員へのスムーズな情報伝達も可能となる。

 三井不動産とシスコシステムズは、2017年12月に安心・安全なまちづくりを目指して、「日本橋室町エリア防災高度化実行委員会」を設立。取り組みを進めてきたが、今回の実証実験もその一環。

 今回の実験は4月一杯まで継続する考えで、今後も日本橋エリアの救命救急の高度化や防災機能の高度化に向け、実証実験や協議・協働を推進していく予定。また三井不動産では、今回をモデルケース都市、他のまちにも横展開していく考え。

人が倒れたという状況を「Spark」が建物管理者に通知する
「Coaido119」を通じて駆けつけた救命スキル保持者も救命活動に参加


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