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住み続けられる国土、戦略的な移住促進が重要

委員会の様子

 国土交通省は27日、国土審議会計画推進部会「第9回住み続けられる国土専門委員会」(委員長:明治大学農学部小田切 徳美教授)を開催。これまでの議論を踏まえ、地域に住んでいる人(定住人口)・地域や地域住民との多様な関わりを持つ者(関係人口)を増加させるための必要な方策について、2018年のとりまとめ案などを議論した。

 「移住・関わり等の戦略的な促進」について、現状では行政機関による移住・定住に向けた支援のほか、地域金融機関が取り組んでいる事例などもあり、地方への移住希望者が必要に応じて支援メニューを取捨選択できる状況が整いつつあるとした。

 一方で、地域単位でみると、どのような人々と、どのような関係を構築したいのか、ということを主体的に地域外に向かって示し、戦略的に取り組んでいる地域は少ないことから、各地域が戦略的な視点を持って施策・取り組みを検討する際に何が必要なのかを整理。「『人と地域の関係のマトリクス』を用い、段階的関係に着目した施策の組み立て」や「ターゲットとする移住・関わり希望者の求めるライフスタイルや、ライフステージの視点に応じた施策への集中」、「地域の将来像を掲げ、それに呼応し担い手が集まるというプロセス」を明らかにした。

 その上で、各地域は経済的な価値を基本としつつも、従来の価値基準を超えた内面的な価値や社会的な価値を含めた多様な価値観に基づき、地域の資源や強みを見つめる必要があるとし、各地域がどのような属性の人々とどのような関係を構築したいのか、地域が個性的で魅力ある素材を生かしながら地域の魅力の土台となるそれぞれの物語を確立し、共通の物語を語ることができる人材を育成しながら、地域がターゲットとする人々に働きかけていくことが求められているとした。

 また、「移住・関わり等を支援するための機能」(以下、「つながりサポート機能」)について、活動場所・活動のステップ・支援対象者の地域との関わり度合いにより分類し、検証。サポート機能を発揮するためには、活動の場所が都市側にあったとしても、あくまでも各地域がメインであり、特に地域側が主なターゲットとなりえる都市住民に積極的にサービスを提供するサテライト型の機能強化が重要であることなどを指摘した。

 18年度は、「コミュニティの再生」と「内発的な発展が支える地域づくり」を論点として検討していく。 

 第10回目の開催は、7月頃の予定。


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