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不動産信託スキーム内で、人道支援の寄附も可能に

不動産信託スキーム内で寄付する場合の流れ

 スターツ信託(株)は、NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)と連携し、同社の不動産信託スキーム内に、人道支援の寄付が可能となる仕組みを導入する。

 JPFは、NGO・経済界・政府などが対等なパートナーシップのもと2000年に設立。同団体に集まった寄付金をJPF加盟NGO43団体に適切に分配するなど、世界各地における自然災害による被災者や紛争による難民への人道支援を実施している。

 通常、不動産による寄付を検討した場合、遺贈された不動産に含み益があると「みなし譲渡課税」が発生し相続人が支払わないといけないこと、その結果、換価処分による現金による寄付が求められていること等から、これまで不動産を活用した寄付はあまり進んでこなかった背景がある。スターツ信託の不動産信託は、委託者から土地、賃貸アパート・マンション等を、所有権移転を受けた状態で預かり、契約期間中、運営・管理などを行なうもの。その流れに寄付の流れを組み込むことで、寄付活動の促進につなげたい考え。

 流れは、不動産の信託設定の際、相続発生時に、相続人の判断で不動産を売却し、代り金を寄付することも可能という特約付きで、契約を締結する。信託期間中は、受益者が受け取る収益配当の一部または全部をJPFに寄付。相続人は、相続発生時、同不動産を売却し、その代金を寄付することができる。スターツ信託が信託を受け入れた不動産は、すべてに同特約を設定することが可能。

 26日の会見の場で、スターツコーポレーション(株)の副会長で、JPFの理事も務める関戸博高氏は「不動産信託の使い勝手の良さを寄付活動に役立てたいという思いから今回の連携に至った。方法論が明確であれば、オーナーも社会貢献等に使おうという意識に向かうはず。ただ、不動産信託の場合、対象となる不動産の条件は厳しいため、今後は、ピタットハウス等のネットワークを活用して、遺贈の相談に乗れるようにするなど、グループ力を生かして幅広く対応していきたい」と話した。


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