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私募ファンド市場規模、17.7兆円と推計

 (株)三井住友トラスト基礎研究所は15日、「不動産私募ファンドに関する実態調査」結果を発表した。国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社にアンケート調査を実施。調査時期は1~2月、有効回答社数は50社。

 18年12月末時点での不動産私募ファンドの市場規模は、運用資産額ベースで17兆7,000億円(前回調査(18年6月末時点)比約8,600億円増)と推計。近年緩やかに増加している国内不動産私募ファンドの市場規模の拡大が継続している。
 運用資産額が増加した運用会社数は、減少した運用会社を上回り、全体として前回推計結果から約5.1%の増加に。私募REITの外部成長による底上げに加え、クローズドエンド型私募ファンドにおける資産規模拡大が不動産私募ファンド市場の拡大を大きく牽引した。

 デット資金の調達環境については、「普通」とする回答が最多で、「緩い」とする回答を上回った。デット資金調達が比較的行ないやすい状況で、特に変化はないと感じている運用会社が多いと推察している。

 18年7~12月の物件取得状況は、「取得した」との回答が67%に。16年1月調査以降、回答会社のうち6割以上が物件取得を行なっている状況が継続している。物件取得に至らなかった理由では、「価格目線が合わなかった」との回答割合が65%と、調査開始以来最大となった。「入札における競合が激しかった」の回答割合は、17年以降減少傾向にあったが、今回調査では24%となり再び増加した。
 物件売却状況については、「売却した」との回答が45%となり、半数を下回った。売却を行なわなかった理由は、「当初から売却予定はなかった」が89%を占めた。

 今後投資に注力していきたい物件タイプは、「オフィス」「ホテル」が約20%、「住宅」「商業施設」「物流施設」が15%前後となった。
 注力していきたいエリアについては、「都心5区」「東京23区(都心5区を除く)」「首都圏」「近畿圏」が各20%前後で並ぶ結果に。物件取得が困難な状況の継続が見込まれることから、同社は「今後も多くの運用会社が、東京だけでなく国内の主要エリアを対象に、幅広く物件取得を展開していく」と分析している。


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