不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

居住誘導区域への人口誘導策を検討

委員会の様子

 国土交通省は29日、11回目となる「都市計画基本問題小委員会」を開催した。

 同委員会では、コンパクトシティ実現に向け2014年からスタートした「立地適正化計画制度」の実効性アップに向けた方策について議論。同制度は、市街地を、居住を誘導し人口密度を維持する「居住誘導区域」と生活サービスを誘導する「都市機能誘導区域」に定め、市街地を集約し、コンパクトなまちづくりを促進するもの。今回は、「居住誘導区域に人口を集中させるためのインセンティブ措置等」と、「非集約エリア(市街化区域内の居住誘導区域外)の将来像と実現のための方策」について、事務局が提案し、委員会メンバーが意見を述べた。

 事務局は、居住誘導区域に人口を集中させるためのインセンティブ措置に関して、居住環境を向上し魅力ある地域づくりをすることが必要とした上で、「住宅地内における生活支援施設等の容積率緩和・用途制限の緩和など、生活利便を高めること」と、「居住集約区域内の住宅を購入する場合、『フラット35』を活用した居住誘導の推進や自治体の住宅取得費用に係る補助」などを提案。
 一方、委員からは、「現時点でも病院は余っている状況であるのに、容積率・用途制限の緩和により建てやすくなれば一層増加し、供給過大になる」といった理由から、「土地の使い方の自由度を上げることは長期的にみるとまちづくりの質を落とす原因になりかねない」という意見が多く挙がった。また、「居住誘導区域の防災性を高めるなどのインセンティブも考えられる」との意見も出された。

 「非集約エリアの将来像と実現のための方策」に関しては、人口密度が減少する中で、ゆとりある都市空間をどう形成、活用するかが重要とし、「多様化するライフスタイルの受け皿として活用する」などを提案。また非集約エリアと人口密度の維持を目的とする居住誘導区域との将来像や方策の違いをどう考えるかといった課題が提示された。
 委員からは、「居住集約地域のサブ的な立ち位置ではなく、全く別の論理で活用方法を検討していくべき」、「住民主体で空間を活用・保全してもらう旨の提案が多いが、非集約エリアの中には、高齢化の進む地域も多く、難しいのではないか」等の意見が挙がった。


最新刊のお知らせ

2024年6月号

「特定空家」にしないため… ご購読はこちら