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FRK・山代新理事長「多様な住まい方への支援求める」

「コンサルティング能力を持つ人材の育成などが大切」と語る山代氏

 (一社)不動産流通経営協会の新理事長に就任した山代裕彦氏(三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長)が9日、専門誌記者と会見した。

 山代氏は、「今年、『不動産業ビジョン2030』が発表され、加えて来年はFRKの創立50周年。そうした節目の年に大役を仰せつかったことに身の引き締まる思い。歴代理事長の足跡を踏襲しながら役割を果たしていきたい。第一に、政策提案やそのための調査研究活動、情報発信に力を入れる。また、多様なライフスタイルに応じたコンサルティング能力を持つ人材の育成、新しい不動産流通の在り方の提案などについても積極的に事業を展開していく」と抱負を述べた。

 直近の市況観について同氏は、投資用不動産の流通に関しては融資厳格化の懸念は残るが、実需に関してはおおむね堅調に推移すると見込んでおり、「都心部の実需は価格高騰でやや流通スピードが落ちているが、良質なストックも蓄積している。低金利や政策的な後押しもあるほか、これまでの新築重視だったエンドユーザーが、“新築対既存”ではなく、値段や立地、性能などさまざまな条件で住まいを選ぶ市場になってきた。今後も不動産流通市場は拡大基調で推移するだろう」(同氏)とコメントした。

 AIやIoT等最新技術の影響について問われると「目の前のお客さまと対峙し、ニーズを聞き出して、マッチングするという仕事にどうデジタルを活用していくか。物件情報のピックアップについては技術を活用することで効率化が図れるが、お客さまが望んでいるものを判断し、提案することは人でなければ難しい。アナログ・デジタルをうまく活用することが重要だ」(同氏)とした。

 また、従来から調査・研究を行なっている、住宅ローン控除など取得支援策の最低居住面積を50平方メートル未満に拡大すること等についてもさらに検討を深めていく。これに加え、2拠点居住(マルチハビテーション)の増加も予測し、多様な住まい方に対する支援についても税制改正要望等を通じて訴えていく考えだ。「『不動産業ビジョン2030』等を見ても、国との意識のずれはほとんどない。時宜に応じたタイムリーな内容を税制改正要望に盛り込んでいく」(同氏)などと話した。


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