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ESG投資等、市場拡大に向け新たな課題を検討

 国土交通省は2日、第11回「不動産投資市場政策懇談会」(座長:牛島総合法律事務所弁護士・田村 幸太郎氏)を開催した。

 同省は2017年6月、17年度の同懇談会での議論を踏まえ、官民協働による20年頃までのリート等資産総額約30兆円の実現を目標に掲げ、「不動産投資市場の成長に向けたアクションプラン」を策定。今回はその進捗状況を確認するとともに、ESG投資の国際的な拡大や暗号資産(仮想通貨)等の取引手法の多様化など、近年の情勢変化を踏まえ、さらなる不動産投資市場の拡大を目的に論議した。

 情報活用・新金融技術の課題として、マクロ・ミクロ的な分析向上に向け、どのような指標を整備すべきか、またブロックチェーン技術の活用などについて検討。ESG投資の推進に向けた課題として、ESG不動産投資のあり方検討会での中間とりまとめの報告などがなされ、気候関連のリスク・機会の情報開示を推進していく上での課題、REITや不動産特定共同事業において、再生可能エネルギー設備に関する活動を不動産投資や取引の中でどのように位置づけるかなどについて意見を交わした。

 委員からは、「何らかの指標とする“統計”をつくる際は、何を目的とするか、政策的にどのようなことに役立てるのかのメッセージを示すことが大事」「商業用不動産において個別の取引価格等のデータはほぼ非公表。この非開示が市場拡大の足を引っ張っていると考えられる」「統計整備に当たり、国の関与はさまざまなレベルで考えられる。国だからこそ集められるデータがあるはすで、そうしたデータは公権力で集めるべき」「ESGについては、民間がきちんと情報を出していくことが重要。そのために企業の評価、不動産の評価、皆が分かりやすいラベルもつくっていくべき」などといった指摘がなされた。


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