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IT企業集積進む渋谷、10年で賃料が1.6倍に

フォーラムの様子

 JLLは11日、「不動産&ホテル投資フォーラム2019」をコンラッド東京(東京都港区)にて開催。日本のオフィスおよびホテルの市場動向等について講演を行なった。

 冒頭、JLL日本代表取締役社長・河西利信氏が登壇。「近年、IT企業が都市の発展を支え、不動産市場を牽引するようになり、また、フレキシブルオフィスやなど、オルタナティブな不動産も生まれ、不動産市場は現在大きな変化のときを迎えている。このフォーラムが、市場の明日を読み解くための知見になれば」などと挨拶した。

 講演では、JLLグローバルリサーチシニアディレクターのキャロル・ホジソン氏が、イノベーション都市と不動産の関係性を解説。世界的にイノベーション企業が集積する都市は、空室率が低く、賃料は上昇する傾向にあるなどと話した。
 その後、JLL日本リサーチ事業部長の赤城威志氏は日本不動産市場の動向を説明。都心5区のAグレードオフィス賃料は、9月末時点で3万9,536円(前年比5.0%上昇)だが、その上昇は渋谷区の賃料上昇が下支えとなっていると解説。過去10年間の賃料上昇率を比較すると、大規模なオフィス床を抱えている丸の内・大手町エリアは16%上昇、人気の六本木・赤坂エリアは23%上昇であるのに対し、渋谷は57%上昇と驚異的な伸びを見せているとした。「上昇率の差はエリアが抱えるテナントの業種に由来する。従来は金融系企業の集積エリアが、賃料が上がりやすいとされていたが、リーマンショック以降はITテクノロジー系企業が取って代わった。こうした動きは、東京だけでなくニューヨーク等他国の都市でも見られている」(赤城氏)。
 また、全体エリアの賃料上昇の理由としては、企業がコワーキングスペース(フレキシブルスペース)を求める動きが活発で、新たなニーズが拡大していることを挙げた。

 日本のホテルマーケット動向については、JLL日本執行役員ホテルズ&ホスピタリティ事業部副部長の寺田 八十一氏が講演。ホテル市場のマーケットは投資家の投資意欲も旺盛で、19年以降も市場規模は拡大すると話した。「オリンピックに向け、主要都市における交通インフラの整備・拡張が進み、より観光しやすい環境が整ってきた。そうした環境はオリンピック開催後も有効に作用し、インバウンドの増加が見込まれることから、ホテル市場は2020年以降も好調に推移していくと予測される」(寺田氏)。


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